検索窓
今日:16 hit、昨日:33 hit、合計:719,618 hit

第163話 ページ33

.



『カナヲ、手紙のことは黙っててね』

「!」



アオイに手当てをしてもらったあと、2人まとめて同じ部屋で寝かされていた。



「…師範は何も知らないの…?」

『…うん。寧ろ、知ってるのはカナヲだけだよ』



彼女の方を見て言えば、えっ、と声を漏らした。



『…本当に、凄く腕のいいお医者様なの。心配ないよ』

「…けど、報告したら結局分かるんじゃ…」

『うん。だから、隠す』

「どうやって……」



そう言われ、にこりと微笑んで、お休み。と話を終わらせる。

…ごめんね、カナヲ。けど、しのぶさんには、言えないから。

"鬼から人に戻す薬を作る鬼"に、助けられてるなんて。



『(皮肉なもんだな…鬼が人のために薬を作り、人が鬼のために薬を作るなんて…)』



…世界は、残酷なんだな…。



『(…あの男の受け売りみたいで嫌だけど、実感するよ)』



はぁ…と一息吐き、私は眠りについた。



―――――



「おはよう、A。そろそろ来る頃だと思ってたよ」

『え』



翌日。

お館様の元へ訪れると、開口一番に言われたのはそれ。



『ど、どうしてです…?』

「何となく、じゃだめかな?」



と、悪戯っぽく笑うお館様が最高に可愛かったので、大丈夫です。と即答してしまえば、ふふっ、と再び笑うお館様。



「それで?何をして欲しいんだい?」

『(わあ…全部お見通しなのかな…)

…珠世さんは、ご存知ですよね?』

「あぁ、知っているよ」

『私は彼女に助けられました。定期的に自分の血を送り、薬を作って貰っています』

「そうか…」

『…その薬が、先日完成したとの一報を頂き、早ければ今日この後…若しくは明日の早朝、彼女の元へ向かいます。

…私は…ちゃんと、人間に戻ります』



そう言い切れば、お館様は手を引かれながら私の元へと来る。



「わかっているよ。心配しなくても大丈夫」

『…!』

「…Aの中にある想いや信念…それさえ持ち続ければそれが"永遠"になるんだ。

悪鬼にはない…人の心だから宿るものなんだよ」



優しく微笑むお館様のその言葉が、私の心に深く刺さる。



『(想い…信念……)』

「Aは、優しくて強い。自分が思っている以上に、君は凜とした子なんだ。

…だから、皆に"嘘"をつきたいんだね」

『…はい』



人に戻ることは言う。けど、"どうやって"、"誰が"、は伏せておきたいのだ。

…まだ今は。



「心配せずとも大丈夫。皆、真っ先に喜ぶはずだから…。

安心して行っておいで」

第164話→←第162話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (646 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1529人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 原作沿い
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

たくあん(プロフ) - ひまわりさん» コメントありがとうございます!!(*´`*)嬉しいです!( ; ; )かなりの話数なのに!( ; ; )ありがとうございます!続編でも頑張ります!(*^^*) (2019年11月6日 12時) (レス) id: 217fb630d3 (このIDを非表示/違反報告)
ひまわり - コメ失礼します!一気読みしちゃうくらい面白かったです!続きを楽しみに待っています\(^o^)/ (2019年11月5日 23時) (レス) id: 22b40083c6 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - こね子さん» コメントありがとうございます!!めっちゃ嬉しい( ; ; )楽しんで頂けてよかったです!更新頑張ります!(*^_^*) (2019年11月1日 12時) (レス) id: 9978d450db (このIDを非表示/違反報告)
こね子 - すんごく面白いです!!今日、1話から一気読みさせて頂きましたが!先の展開が読めなくて続きが気になって仕方ない!!笑 更新楽しみに待ってます! (2019年10月31日 21時) (レス) id: 22b40083c6 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - ゆりかもめさん» コメントありがとうございます!(*^^*)めちゃくちゃ嬉しいです!!( ; ; )リクエストもありがとうございます!余裕が出てきたら書かせていただきますね!!(*^^*) (2019年10月27日 19時) (レス) id: 4fbafed690 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:たくあん | 作成日時:2019年8月9日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。