第138話 ページ4
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客も随分引いた頃、華やかな着物から、簡易な浴衣に着替え、善逸の部屋へと向かう。
『(禿の子達に聞いた話じゃ、善逸は蕨姫と対峙した…泣いていた女の子を助けるために…!!)』
本当に、呆れるくらい女の子が好きだし、すぐ泣くし喚くし、初対面の子にすぐ求婚するけど、でも、
『(善逸は…優しいから…誰であろうと放っておけないお人好しだから…!)』
きっと逃げられるような場面でも、彼は、困っている人が居たら、何があっても行ってしまう人だから。
『はぁっ…善逸…っ!!』
善逸が寝ていると聞いた部屋の襖を開ければ、そこは、
『…な、んで……誰も…居ないの……?』
窓も開いてない、出入口はここだけ、それなのに善逸の姿はそこにはなかった。
『…ぜ、ぜんい……』
「藤雪」
『!』
ドカッ!と部屋の中へと蹴られたと思えば、立っていたのはあの夜見た蕨姫の姿。
『…やっぱ鬼だったんだ…(しかも上弦の陸…)』
「見つけたわ、"サガシモノ"…しかもその感じ…あんた柱だったのね」
『……』
「まあ、ご自慢の刀もなくて、丸腰なんて可哀想にねえ」
『黙れ』
キッと睨みつけると、ピクリと眉を顰める蕨姫。
「あんた、誰に向かって口聞いてるかわかってんの?」
『ッ!』
グッと首を捕まれ、そのまま押し倒される。
「ホントに綺麗ねえ…しかも美味そうな匂いまで…アタシが食べたいくらいだけど、あのお方に差し上げなくっちゃ」
『…っ!(こ、の野郎…!)』
勢いよく膝で背中を攻撃しようとするも、それはゆらゆらと揺れる帯に止められた。
「綺麗なまま取り込んであげる」
『(ふざけんな…っ!)』
炭治郎のようにぶん!と頭を振り回せば、ガツン!と音が鳴り、蕨姫の重みがなくなった。
その一瞬で部屋から出ようとした時だった。
「まあ、待てよ」
『(しまった…蕨姫に気を取られすぎて…!!)』
「お前を逃しちゃ俺の立場がねェからよ」
『…ッ、死ね…!』
ふわりと香るそれは、私を深い眠りへと誘う。そして、朦朧とする意識の中で、帯に囚われる感覚がした。
…ああ、また天元さんに怒られるなあ。ごめんなさい。せめて日輪刀持って部屋に来ればよかった…。
そんなぼんやりとした考えをしながら、私は落ちていく。
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たくあん(プロフ) - ひまわりさん» コメントありがとうございます!!(*´`*)嬉しいです!( ; ; )かなりの話数なのに!( ; ; )ありがとうございます!続編でも頑張ります!(*^^*) (2019年11月6日 12時) (レス) id: 217fb630d3 (このIDを非表示/違反報告)
ひまわり - コメ失礼します!一気読みしちゃうくらい面白かったです!続きを楽しみに待っています\(^o^)/ (2019年11月5日 23時) (レス) id: 22b40083c6 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - こね子さん» コメントありがとうございます!!めっちゃ嬉しい( ; ; )楽しんで頂けてよかったです!更新頑張ります!(*^_^*) (2019年11月1日 12時) (レス) id: 9978d450db (このIDを非表示/違反報告)
こね子 - すんごく面白いです!!今日、1話から一気読みさせて頂きましたが!先の展開が読めなくて続きが気になって仕方ない!!笑 更新楽しみに待ってます! (2019年10月31日 21時) (レス) id: 22b40083c6 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - ゆりかもめさん» コメントありがとうございます!(*^^*)めちゃくちゃ嬉しいです!!( ; ; )リクエストもありがとうございます!余裕が出てきたら書かせていただきますね!!(*^^*) (2019年10月27日 19時) (レス) id: 4fbafed690 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たくあん | 作成日時:2019年8月9日 0時