第146話 ページ13
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技がぶつかり、煙が晴れた瞬間だった。
「先ずはお前だなあ、"サガシモノ"」
『(しまっ…!!)』
「A!」
距離を詰めてきていた鬼の攻撃を刀で受けるも、後方からの血鎌は避けきれず、身体を掠める。
『!ごほっ…!』
受けた衝撃でそのまま身体が吹き飛び、空き家へと突っ込む。
…毒だ…始めに戦った時の鬼なんかよりも周りも効きも速い。
『げほっげほっ…!(天元さんよくこれで闘ってるな…!早く助けてあげなきゃ…!)』
酸素と血を回していれば、ブツっと切れたリボン。そして、不意に見えた、ひび割れた鏡に映る自分の姿。
『(目も、口も、爪も…ヒトじゃない…)』
毒か興奮か。自分でもわからないが、ただ、心臓を打つ速さが尋常ではない。
『スゥ…』
息を吸い、軽く地面を蹴れば、すぐに天元さんの元へと戻る。
「!(こいつ…!)」
「A…!?(気配が…!)」
『天元さんから、離れろ』
技を振るうも鬼は鎌で私の攻撃を相殺した。再び応戦しようとすれば、ウッと喉まで込み上がってくる鉄の味。
『げほっ、ごほっ!』
「!」
「鬼の気配はするけどなあ。完全な鬼じゃないと苦しいよなあ」
『…っ!』
私が片膝をつけば、天元さんが代わりに攻撃を受け、何とか凌いでく。
…今の間に毒の浄化を…!
そう思った瞬間、目に飛び込むのは天元さんに襲いかかる無数の血の刃。
『ーーッ天元さんッ!!!!』
ドォオン!!!!
激しい音と同時に地面に身体が着いた。意識が朦朧とする中、咄嗟に庇った天元さんを見れば、血塗れの彼と、傍に落ちているのは2つの手。
1つは白藍の刀を握っているもの。もう1つは鎖の繋がった大きな刀を握るもの。
『(天元さん……手が…間に合わなかった…ごめんなさい……)』
ずる、ずる、と身体を引き摺らせ、とりあえず先に解毒剤を…と胸元から取り出した時だった。
ゲシッと手を蹴られ、宙を舞ったそれはパリン、と音を立て月明かりに照らされて散っていく。
「しつけえなあ…」
『……』
「何だよその目は…諦めろよなあ…」
『!い゙っ!』
思いっきり踏まれる手の痛みで覚醒する意識。
「もうロクに動けねえくせに…そっちの柱はやられてんだ、もう死ねよなあ」
『は……』
「心臓止まってんだよ、お陀仏だ」
そう言われ、天元さんを視界に入れた瞬間、自分の中で箍が外れた気がした。
「お前はあのお方の元へ連れて…!!」
ドカァァアン!!
『シネ…クズが…』
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たくあん(プロフ) - ひまわりさん» コメントありがとうございます!!(*´`*)嬉しいです!( ; ; )かなりの話数なのに!( ; ; )ありがとうございます!続編でも頑張ります!(*^^*) (2019年11月6日 12時) (レス) id: 217fb630d3 (このIDを非表示/違反報告)
ひまわり - コメ失礼します!一気読みしちゃうくらい面白かったです!続きを楽しみに待っています\(^o^)/ (2019年11月5日 23時) (レス) id: 22b40083c6 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - こね子さん» コメントありがとうございます!!めっちゃ嬉しい( ; ; )楽しんで頂けてよかったです!更新頑張ります!(*^_^*) (2019年11月1日 12時) (レス) id: 9978d450db (このIDを非表示/違反報告)
こね子 - すんごく面白いです!!今日、1話から一気読みさせて頂きましたが!先の展開が読めなくて続きが気になって仕方ない!!笑 更新楽しみに待ってます! (2019年10月31日 21時) (レス) id: 22b40083c6 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - ゆりかもめさん» コメントありがとうございます!(*^^*)めちゃくちゃ嬉しいです!!( ; ; )リクエストもありがとうございます!余裕が出てきたら書かせていただきますね!!(*^^*) (2019年10月27日 19時) (レス) id: 4fbafed690 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たくあん | 作成日時:2019年8月9日 0時