第129話 ページ43
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『て、ん、げん…さん……?』
「鴉の連絡見て来た。無事か?」
『はい…私は…』
「よかった」
そう言って天元さんは私を抱きしめると優しく頭を撫でる。
…あぁ…温かい…身体も心も…この人は温かく寛大だ。
そんな彼だからこそ、私は……。
『……天元さん、申し訳ないのですが雛鶴さんの行方は未だに掴めてません。須磨さんも、私がまきをさんと合流した時には既に連絡は取れなくなっていたみたいです』
「…そうか」
『すみません、力量不足で…。私、結局何も出来ないまま…』
「いいんだ。生きて何かしらの情報が得れりゃ充分だ」
『…ありがとうございます。すみません…』
そう言うと、ポンポンと背中を撫で私を離す天元さん。
「謝ることじゃねえだろ。明日こそ別の隊員連れてきて、もう一度送り込んだ店へ潜入させる。A、お前はもう引け」
『!』
「お前はよくやった」
『待って下さい…私は…!』
「いい。もう、お前に無茶はさせたくねえ。頼む、俺の知らねえところで、死なれるのはもう懲り懲りだ…生きた心地がしなかった」
『…!』
あまりにも哀しい雰囲気の天元さんに言葉が出なかった。
…そうだ、これは"前の自分"の行いの所為なのだ。自業自得だ。
でも、
『…引けません』
「!」
『鬼の目星はつきました。何としても奴の頸は取ります』
「…鬼はどこのどいつだ」
『…吉原を、支配してるのは……』
と、その先を言おうとした時だった、
『…っ!?(毒…!?)』
「A…?」
漂うその匂いに口を覆うも少し吸ってしまった。
『(何だこれは…!独特の…何か……)』
徐々に意識が遠のいていく中、最後に見たのは天元さんの必死に私を呼ぶ表情だった。
* * *
嫁たちの情報、それと棲んでいるであろう鬼の情報を聞こうとした時、ばっ!と口を抑えたA。
…なんだ?何も匂いはしないが…。
と、周囲を見渡した瞬間、トンッ…と静かにそこへ降り立った。
「!」
刀を振ろうとした手は止まった。
「賢い男だな。俺諸共コイツを斬っちまうのかと思ったぜ」
「オイてめぇ、その汚ねえ手でAに触んな。返しやがれ」
「ははっ、随分ご執心なこった。だが、俺もコイツはやれねえ。無惨様の大事な"サガシモノ"だ」
「Aはモノじゃねえんだよ、死ね」
暗器で奴の腕を斬り落とそうとすれば、急に辺りが霧で包まれていく。
「チッ…」
「じゃあな鬼狩り」
「くそっ…!A!!」
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月花 - 善逸との絡み入れて欲しいです (2020年1月23日 7時) (レス) id: a919e6fca7 (このIDを非表示/違反報告)
月花 - 大正コソコソ話!夢主は鬼殺隊に入り始めた頃任務がキツくて来世は隠に入ろっかなと思ったらしいよ (2020年1月23日 7時) (レス) id: a919e6fca7 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - 星廻さん» コメントありがとうございます!!(*´-`*) シンプル!笑 嬉しいです(*´`) (2019年10月19日 0時) (レス) id: 3900fac987 (このIDを非表示/違反報告)
星廻 - すきです! (2019年10月18日 23時) (レス) id: 345c689636 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - 廻那さん» コメントありがとうございます!!更新頑張っていきます!(*^^*)ああああ、ご指摘ありがとうございます( ; ; )すみません( ; ; )すぐ訂正します( ; ; ) (2019年8月10日 1時) (レス) id: 81b06921bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たくあん | 作成日時:2019年7月13日 18時