第124話 ページ37
.
「折り入って頼みがある」
いつもの雰囲気とは裏腹に、真剣な表情の天元さんが私の元へとやってきた。
「遊郭に潜入してほしい」
『!』
「雛鶴との定期連絡が途切れてる。まきをや須磨ももしかしたら危険かもしれねえ」
『…奥様方が…』
「胡蝶にはAを借りる許可貰ってる」
『別にそこまでしなくても…』
「ちゃんと言わねえと俺が殺される」
『成程』
「自分の身が危険だと思ったらすぐ逃げてくれていい。何よりも命だ」
『…』
…あぁ、この人はいつもそうだ。本来であれば、この身を捧げてでも鬼を殺さなければならないはずなのに、
『(天元さんは…いつも命を優先する…)』
「…お前は認めねえだろうが、俺はAを嫁だと思ってる」
『そうですね、それはさすがに』
「即答で否定すんな」
なんて鋭いツッコミを入れられれば、A。と名前を呼ばれる。
「頼んでもいいか?」
『…はい。奥様方には、随分お世話になってますので……!』
と、そこまで言ったところで気がついた。
…記憶を失ってからは天元さんの奥様方は話は聞いていたが、会ったことないはずなのに。
『(…それでも、そう"思わせる"くらい、以前の自分はお世話になってたんだ)』
「無茶だけはするんじゃねえぞ。すぐに他の隊員も向かわせる。それまででいい」
『他の隊員?』
「それはまた追追だ。お前には花魁として"千ぐさ屋"に入って、吉原を探って欲しい」
『?禿ではなく?』
「色々話は通してある。ああ見えて藤の花の家紋があんだよ。表向きがあるから隠してるけどな」
へぇ…。と納得すると、じゃあ早速行くぞ。と身体を持ち上げられる。
『い、今からですか!?』
「ああ」
『急すぎま…ぎゃああ!!』
と、私の言葉を遮るように走り出した天元さん。
担がれたまま暫くすると、"千ぐさ屋"にたどり着いた。
「奥さん、今日から世話になんのはこの子だ」
『こ、こんにちは…』
「あらまあ!綺麗な子ねえ。じゃあ早速やりましょうか!」
『…へ?』
「じゃあ後はたの…「宇随さんも見ていきなさい!」
と、私は奥の部屋引っ張られると、天元さんはその部屋の椅子に座らされていた。
「ほら、出来たよ。折角だから旦那に見せたげな」
『だ、旦那じゃないです…』
おずおずと出ていくと、天元さんは上から下まで見て、ぎゅっと私を抱きしめる。
「…抱きてえ…」
『おいこら』
その後、天元さんは私を離すのをめっちゃ渋った。
1466人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月花 - 善逸との絡み入れて欲しいです (2020年1月23日 7時) (レス) id: a919e6fca7 (このIDを非表示/違反報告)
月花 - 大正コソコソ話!夢主は鬼殺隊に入り始めた頃任務がキツくて来世は隠に入ろっかなと思ったらしいよ (2020年1月23日 7時) (レス) id: a919e6fca7 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - 星廻さん» コメントありがとうございます!!(*´-`*) シンプル!笑 嬉しいです(*´`) (2019年10月19日 0時) (レス) id: 3900fac987 (このIDを非表示/違反報告)
星廻 - すきです! (2019年10月18日 23時) (レス) id: 345c689636 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - 廻那さん» コメントありがとうございます!!更新頑張っていきます!(*^^*)ああああ、ご指摘ありがとうございます( ; ; )すみません( ; ; )すぐ訂正します( ; ; ) (2019年8月10日 1時) (レス) id: 81b06921bf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:たくあん | 作成日時:2019年7月13日 18時