第72話 ページ29
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『…ん』
気がつけば見慣れない天井と、仄かに匂う畳の匂い。
ムクリと起き上がれば、すぐ傍で眠る煉獄さんが見えた。
『(ここ……あ、藤の花の家紋の家…かな…煉獄さん寝てるし…運んでくれたのか…)』
戦った後だったのに、重い私を運ばせて申し訳ないな…。柱なのにもっとしっかりしないと私…。
『(…そういえば、身体ラクになったな…薬が効いたのか…)』
と、そこで思い出す。
視界いっぱいの煉獄さん。柔らかい感触。
『………』
…え、待って?私…もしや…?え…?
『…キス…した…?』
自分の唇に指を添え、思い出せば、ボボボと火照る顔。
『(や、や、やばい…した…多分しちゃった…!)』
…と、と、とりあえず…外に…風に当たろう…。
そう思い、そっと障子を開けた時だった。
ぎゅっ…
『っ!れ、れんごく、さん…?』
「…何処へ行く」
『あ……か、風に当た…「行くな」
「…行くな」
『?煉獄さん…?どうかしました…?』
左側から聞こえる煉獄さんの声は、真剣そのもので、後ろから回る腕に力が籠る。
「……」
『…あの、煉獄さん…?』
「…好きだ」
『…!』
「Aが、好きだ」
『……ッ』
カァァ…とさっきよりも熱くなる顔。
固まっていれば、くるりと身体を回され、真正面に見える煉獄さんの顔。
…なんで、そんな…
『(愛おしそうな…目で…)』
「…A」
徐々に近づいてくる顔に、ぎゅっと目を瞑れば、コツん、と額が当たる。
「…してほしいならするが?」
『ひえっ…け、けけけ、結構です…』
「はは、そう全力で否定されても傷つくぞ」
『そ、そういう訳では…!』
「…俺をどう思ってくれていてもいい。嫌いでも鬱陶しいでもなんでも…。でも、それでも、俺はAが好きだ」
『…っ』
「…もう少しだけ、こうさせておいてくれ…」
再び私を腕に閉じ込めると、優しい手つきで私の頭を撫でる煉獄さん。
…なんだか、この雰囲気…。
『(怯えてる…?淋しがってる…?一体何に…?)』
「…目が覚めてよかった」
『!』
「君の寝顔は消えてしまいそうなくらい、儚げで恐ろしいくらいだった」
『す、すみません…』
「無事で…何よりだ」
『…煉獄さんも、酷いお怪我がなくて何よりです…』
そう返せば、Aは相変わらずだな。と笑う煉獄さん。
「まぁ、そういうところに惚れたんだが…」
『あう…あ、ありがとう…ございます』
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たくあん(プロフ) - ロアさん» コメントありがとうございます!!柱なので頑張ってもらっちゃいました!!!((笑 ありがとうございます( ; ; )頑張ります( ; ; ) (2019年12月27日 0時) (レス) id: 0c6fafeba7 (このIDを非表示/違反報告)
ロア(プロフ) - 夢主ちゃん、下弦とのエンカウント率高www((更新頑張ってください!! (2019年12月22日 16時) (レス) id: 5fe7b44b45 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - ふらんさん» コメントありがとうございます!!ご期待に添える展開に持っていけるか不安ですが、更新頑張っていきます!!ありがとうございます( ; ; ) (2019年7月13日 18時) (レス) id: c661d68094 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - ピースサインさん» コメントありがとうございます!!面白いって言って頂けて本当に嬉しいです( ; ; )更新頑張ります! (2019年7月13日 18時) (レス) id: c661d68094 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - 葵咲さん» コメントありがとうございます!( ; ; )うおお…う、嬉しい…!( ; ; )更新頑張ります!( ; ; ) (2019年7月13日 18時) (レス) id: c661d68094 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たくあん | 作成日時:2019年6月25日 1時