【鬼滅の刃】生きるために刀を握れ！ 弐

第71話 ページ28

.



自分で出した技と、煉獄さんが出した技。両方の力が重なって身体が水面へと押し出される。

そして、



『っは！ゲホッゲホッ！』

「A！」



宙へ放り出された身体を煉獄さんが受け止めてくれ、大丈夫か！と必死に声を掛けてくれるが、微妙に聞き辛い声。



『ゲホッ…！だいっ、じょぶ…！』

「そうか、なら下がっていろ。鬼は俺がやろう」

『れ、ん…ごく…さ…』

「Aのおかげで本来の姿にさせることが出来た。ゆっくり休んでいてくれ」

「おのれ…！柱…！」

「さて、今度こそ終わらせる。

炎の呼吸 漆ノ型 盛炎のうねり」



煉獄さんが技を出すと、鬼は攻撃を防いだ。

だが、その瞬間に再び技を出し、鬼の頸は斬れる。



「残念…けど…その女…死ぬわよ…」

「！」

『(何か喋ってる…？)』

「鼓膜は破れて…内臓への負担も酷い…しかも毒を吸ってる…時期死ぬ…」

「…」

「精々もがけ…人間…」



塵となって消えた鬼。

そして、ぼんやりと見えるのは若い夫婦。



「助けてくれてありがとう…」

「また2人で一緒に居られます…」

『(さっきの…よかった…でも、男の人…死んでしまったんだ…)』

「本当にありがとう…」

「あなたは…死なないで…」



幸せそうに嬉しそうに笑い、泣きながらフッと消える2人。



『(あれ…頬…冷たい…)』

「A、しっかりしろ！どこか痛いか？呼吸は使えるか？とりあえず毒を巡らせるのを遅めろ」

『…れん、ごく…さん…』

「(泣いてる…)どうした？」

『…左から…話して…』



どうも聞こえづらい右側は完全に鼓膜がやられてる。

なんとか言葉を伝えると、左側から煉獄さんの声がさっきよりかは聞こえる。



「何故泣いてる？傷が痛むか？」

『違います…最近…充てられる(･････)こと…多くて…』

「(充てられる…？)…呼吸は使えるか？毒が回ってる筈だ」

『毒…？いえ…なんかもう…身体…だるくて…』

「うむ、それは毒だな。解毒剤は？」

『右胸のポケット…』

「用意周到だな！」



あまり頭も回っておらず、身体に毒が回ってるのすら感じなかった。



「飲めるか？」

『…突っ込んで…頂ければ…』

「わかった」



そう返事をした煉獄さん。ぼんやりとした意識の中、煉獄さんを見ていれば、何故か本人が薬を口に含み、水を飲んだ。

…あれ…薬、私が飲むんじゃ…。

と、思った時、顎を掴まれ、気がつけば視界いっぱいの煉獄さん。それと、柔らかい感触が唇にあった。

第72話→←第70話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す