第87話 ページ45
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『………』
目を覚ませば、何も無い真っ白な空間。
ふと自分の身体を見れば傷もなく、元通り綺麗になっていた。
『(…死んだから、かな……)』
「やっぱり来たんだね」
『!』
反射で腰に手を当てるも、刀はない。
『……なに?』
「いや、予想通りだったな、と」
男はふわふわと浮いたまま、ニヤリと口角を上げた。
「煉獄杏寿郎を救えてよかったか?」
『……うん。あの人は、生きなきゃいけない人だ』
「…君はそう思うかもしれないけど、本人はどう思う?」
『……』
「君がやったのはただのエゴだ。煉獄杏寿郎の状態を見るか?」
そう言われ、何処からか窓が現れた。
そこから見えるのは、静かに眠る煉獄さんの姿。そして、その近くには、私の羽織と刀の柄が置いてあった。
『…れん、ごくさん…』
「あの後、隠の人達が彼や竈門炭治郎達を連れて帰ったよ。治療を施され、煉獄杏寿郎の傷は致命傷はなかったものの、随分酷かった。左目は、もう見えない」
『………』
「内臓も治るまではかなり時間がかかるだろうね。彼が次刀を握れるのはいつになるかな」
『…何が言いたいの…』
窓に映る煉獄さん。触れられないのはわかっているが、そっとその窓に触れた。
「戦えない身体になり、その上好きな女を目の前で失った。彼の哀しみは計り知れないね」
『…っ!』
「だから言ったんだよ。関わるなと」
『…だ、って…』
…関わらなければ、煉獄さんは生きていなかった。例え、私がどうなろうとも、彼は生きなきゃいけない存在なんだ。
だって、私は所詮"ただの"登場人物だから。
「…君はもう"ただの"登場人物じゃなくなってたんだよ」
『!』
「深く関わるから、彼らはもう君を絶対的な存在としてしまったんだ。だから、彼らは今哀しんでいる」
そう言うと、今度は身体に包帯を巻いた炭治郎や善逸、伊之助が映る。
彼らは、ずっと泣いていた。
「余計な悲しみを与えたんだよ、君が」
次に柱の人たちが順番に映る。
わんわんと泣く蜜璃さんを宥める伊黒さん。
悔しそうな顔を浮かべる不死川さん。
どこか悲しい表情で真っ直ぐ前を見つめる冨岡さん。
静かに涙を零すしのぶさんと悲鳴嶼さん、それと、天元さん。
そして、涙を堪えながら、どこか怒ってるようにも見える時透くん。
「わかるか?君がした事を」
『…なら…私はあの時煉獄さんを見殺しにすればよかったの…?』
「……言ったろう、世界は残酷だと」
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たくあん(プロフ) - ロアさん» コメントありがとうございます!!柱なので頑張ってもらっちゃいました!!!((笑 ありがとうございます( ; ; )頑張ります( ; ; ) (2019年12月27日 0時) (レス) id: 0c6fafeba7 (このIDを非表示/違反報告)
ロア(プロフ) - 夢主ちゃん、下弦とのエンカウント率高www((更新頑張ってください!! (2019年12月22日 16時) (レス) id: 5fe7b44b45 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - ふらんさん» コメントありがとうございます!!ご期待に添える展開に持っていけるか不安ですが、更新頑張っていきます!!ありがとうございます( ; ; ) (2019年7月13日 18時) (レス) id: c661d68094 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - ピースサインさん» コメントありがとうございます!!面白いって言って頂けて本当に嬉しいです( ; ; )更新頑張ります! (2019年7月13日 18時) (レス) id: c661d68094 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - 葵咲さん» コメントありがとうございます!( ; ; )うおお…う、嬉しい…!( ; ; )更新頑張ります!( ; ; ) (2019年7月13日 18時) (レス) id: c661d68094 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たくあん | 作成日時:2019年6月25日 1時