第78話 ページ36
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「A!大丈夫!?」
『…おねえちゃん…?』
目を覚ますと、お姉ちゃんの顔が目に入った。
『(…あれ…何してたんだっけ…)』
「もー、びっくりしたぁ…羽子板の羽根無理して取ろうとするからだよ!」
ほら、立てる?と私を引っ張り上げると、着物をパンパン、と叩いて、土を払ってくれるお姉ちゃん。
「さて、どうしよっか!日が暮れるまでまだ時間あるし…もうちょっと遊べるけど…」
お姉ちゃんにそう言われ、ダメ!と思わず口から出た言葉。
『帰らないと…!』
「?どうして?珍しいね、いつももっと遊びたいって言うのに…」
『……?あれ、どうしてだろう…?』
…なんで、日が沈んだら…危ないんだろう…?
自分で言ったものの、理由なんてわからなかった。
「ふふ、変なA。でもAがもう満足してるならいっか!帰ろ!」
ギュッと私の手を握るお姉ちゃん。温かくて、少しだけ私より大きな手。
家に帰ったら、お母さんがご飯を作って待ってて、丁度お父さんも帰ってくる時間。
4人でご飯を食べて、お話しして、皆で寝る。
――そんな、素敵な日常を送っていた。
『(…厠…行きたい…)』
夜中に目が覚めて、厠へ行った時、ふと鏡に映る自分を見た。
…あれ、今、一瞬…自分だけど…自分じゃない人映ってた…?
『……気の所為…?』
『"気の所為じゃない!!"』
『!?』
鏡に映る自分が話し出す。
『"しっかりしろ私!今下弦の壱の鬼と戦ってる!"』
『えっ…なに…下弦…?鬼…?』
『"そう!思い出せ!それは現実じゃない…夢だよ…!"』
『何、言ってるの…』
『"思い出して…もう誰も…生きてないんだよ…!"』
『生きてる…!皆…生きてるよ!』
『"違う!皆死んだ…。気づいて…ここは鬼滅の刃の世界…"私"は鬼殺隊・氷柱の神凪A…"』
『鬼滅の刃…鬼殺隊…』
徐々に頭が痛くなり、心臓がドクドクと激しく打つ。
『"思い出して!刀を握って!ここまで生きてきたのは…煉獄さんを助ける為でしょ!"』
『――!』
ハッ、と気がつけば、A?と私を呼び、顔を覗くお母さん。
「大丈夫?随分顔色が悪いけど…」
「体調良くない?今日は家で遊ぶ?」
『……』
誰も居ない?生きてない?
…そんなの、
『…うっ…』
「えっ、ちょっと!なに!?大丈夫!?」
『う、ぐすっ…おかあさ…おねえちゃん…!』
ギュッと抱きつけば、優しく撫でられる頭。
温もりは、確かにそこにはあった。
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たくあん(プロフ) - ロアさん» コメントありがとうございます!!柱なので頑張ってもらっちゃいました!!!((笑 ありがとうございます( ; ; )頑張ります( ; ; ) (2019年12月27日 0時) (レス) id: 0c6fafeba7 (このIDを非表示/違反報告)
ロア(プロフ) - 夢主ちゃん、下弦とのエンカウント率高www((更新頑張ってください!! (2019年12月22日 16時) (レス) id: 5fe7b44b45 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - ふらんさん» コメントありがとうございます!!ご期待に添える展開に持っていけるか不安ですが、更新頑張っていきます!!ありがとうございます( ; ; ) (2019年7月13日 18時) (レス) id: c661d68094 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - ピースサインさん» コメントありがとうございます!!面白いって言って頂けて本当に嬉しいです( ; ; )更新頑張ります! (2019年7月13日 18時) (レス) id: c661d68094 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - 葵咲さん» コメントありがとうございます!( ; ; )うおお…う、嬉しい…!( ; ; )更新頑張ります!( ; ; ) (2019年7月13日 18時) (レス) id: c661d68094 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たくあん | 作成日時:2019年6月25日 1時