第74話 ページ31
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「A!」
『平気です。煉獄さん、下がってて下さい』
「おや、また随分と速くなったんだね」
全身黒いその男。もうこちらの世界で見るのは3度目だ。
会う度に深手を負わされてる。だから本能が言うのだ。
『("殺せ"と、全身がざわめいてる)』
「…知り合いか?」
『何故か一方的に私を知ってる奴です』
「はは、何だか酷い扱いだ。どうだ?藤の花、あと何枚?」
『言ったところで何になる。それより、さっさと消えろ…』
「そう殺気立たないでくれ。…思わず殺してしまいそうだ」
その言葉に冷や汗が伝う。
…落ち着け、煽られるな。冷静に。
「最後の忠告だよ。もう"やめた方がいい"。これからの事も、今この状況も。でないと、君が大変だ」
『…その言い草だと、まるで未来が視えてるようですけど?』
「わかるさ、私"も"知っているからね」
『!』
「…A、下がっていろ」
『ダメです。煉獄さんは出ないで。お願い』
そう言えば、しかし、と刀を構える煉獄さん。
「君も、随分罪なヒトだ。関わらない方がいいと言ったはずなのに…そう周囲を虜にしてしまっては、彼らが可哀想に思えてしまう」
『…どういうこと』
「余計な悲しみを与えるなんて、そんな残酷なことはないだろう?」
『ーーっ!』
ふつふつと堪えていたものが湧き上がってくる。
「Aはそのままでいい」
「『!』」
「俺達と出会った事を後悔しているか?」
『してない…してないです!』
「それはよかった!…これはAの人生だ。お前が口出しするものでもないだろう」
ピリッと殺気を放つ煉獄さんに、ふふふ、と不気味に笑うその男。
「ああ、凄いね。煉獄杏寿郎までも君に夢中だ」
「ああ!それは否定しないでおこう!Aは素敵な女性だ!」
『煉獄さんッ!』
「でもダメだ。君は違うだろう?彼らとは」
『……』
「世界は君が思っているより残酷なんだよ」
そんなのはわかってる。
優しいだけの世界なら、前世で私は死んでない。今世で家族を失ってない。そもそも、記憶すら蘇らず、知らないまま平穏に暮らしていたはずだ。
それでも…。
『("知ってしまっている"なら…仕方がないじゃないか…!)』
「…この先、君は生きるか死ぬかの選択を強いられる。勿論、生きれる保証はないし、かと言って直ぐに死ねるわけでもないだろうね」
『どういう…』
「私はもう消える。ここまで…20年くらいかな。君もあと4年?まぁ頑張って生きろ」
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たくあん(プロフ) - ロアさん» コメントありがとうございます!!柱なので頑張ってもらっちゃいました!!!((笑 ありがとうございます( ; ; )頑張ります( ; ; ) (2019年12月27日 0時) (レス) id: 0c6fafeba7 (このIDを非表示/違反報告)
ロア(プロフ) - 夢主ちゃん、下弦とのエンカウント率高www((更新頑張ってください!! (2019年12月22日 16時) (レス) id: 5fe7b44b45 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - ふらんさん» コメントありがとうございます!!ご期待に添える展開に持っていけるか不安ですが、更新頑張っていきます!!ありがとうございます( ; ; ) (2019年7月13日 18時) (レス) id: c661d68094 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - ピースサインさん» コメントありがとうございます!!面白いって言って頂けて本当に嬉しいです( ; ; )更新頑張ります! (2019年7月13日 18時) (レス) id: c661d68094 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - 葵咲さん» コメントありがとうございます!( ; ; )うおお…う、嬉しい…!( ; ; )更新頑張ります!( ; ; ) (2019年7月13日 18時) (レス) id: c661d68094 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たくあん | 作成日時:2019年6月25日 1時