【鬼滅の刃】生きるために刀を握れ！ (ページ39)

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第36話ページ39

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――彼女は出会った時から不思議な匂いの子だった。

誰でも初めは怖がる鬼の禰豆子を怖がらず、寧ろ可愛がってくれるし、最初から頸は斬らない。とハッキリ断言した。

それも嘘じゃなく、本心で。

更に、彼女は強い。匂いを嗅がなくても、そういう雰囲気がある。自分とは格が違う強さを持っていると思った。

それなのに、刀はあまり振るえない彼女。

…どこか、悲しい匂いのする彼女。

「(持病があるとは言え…不思議だなぁ…)」

「…なあ、Aちゃんって、何か不思議な感じがするよなあ」

「！善逸も思うか？」

「え？炭治郎も思ってたの？」

ああ。と返事をすれば、やっぱ思うよなー。と善逸が天井を見ながら言った。

「同じくらいの歳で女の子なのにさ、どんな事にも達観してるっていうか…たまに年上に見えちゃうんだよなあ」

「…それは、少しわかる気がする」

まるで、生きてる年数が違うかのような。

…そりゃまぁ、3年も鬼殺隊士をやっているからかもしれないけど…

「(そういう感じでもなさそうだしなぁ…)」

「でも、ミステリアスな感じも素敵だよなあ。しかも俺結婚して貰えるかもしれないし」

「いや、それはないと思う」

「何でだよッ！」

「おい！結婚ってなんだ！」

静かだなと思っていた伊之助が口を開いたかと思えば、善逸の"結婚"という言葉に引っかかったらしい。

「は？知らねーの？一生その人と添い遂げる事だよ！」

「…添い遂げ…？」

「ずっと一緒に居るってこと」

「へー。お前、Aと結婚するのか」

「近々な！」

「こら」

嘘を言う善逸にそう怒れば、お前もあんな子居たら結婚したいと思うだろ！と言われた。

「…確かにAはいい子だけど…俺じゃ釣り合わない気もするよ」

「お前は卑屈だなー」

「善逸のその自信はどこからくるんだ？」

「…んん？待て、Aが紋逸と結婚したら俺との約束が守れなくなるじゃねえか！ダメだ！」

「はあ？伊之助の約束って戦うってやつか!?それこそダメだろ!!女の子に手ぇ出すなよな!!」

「でもアイツは強ェじゃねえか！」

ふんす！と威張るように言う伊之助に、確かになあ。と俺も同意した。

「そう言えば、階級は何なんだろう？」

「3年もやってるなら甲なんじゃねえの？」

「本人に聞きゃいいだろ」

それもそうか。と、1人部屋で待つ彼女の顔を思い浮かべる。

…いつか心の底から笑った顔が見てみたいなあ。