第45話 ページ48
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「で?どうするの?
右目完全に見えてないでしょ?と笑う鬼に、私もハッと笑う。
『私を不利にさせたいなら、まだ足りないと思うよ?』
「へぇ…強気だね」
『当たり前じゃない。
そうだよ。この3年…胸の刺青があるにしろ、修行をしなかった訳じゃない。自分の"限界"ならわかってるんだ。
それを踏まえて、"そこへ"持っていく修行も、負担を掛けないようにする訓練もしてきた。
…普段、あまり戦わないのは負担を蓄積しない為。激しい動きや呼吸を使わない理由もそうだ。
『(お館様との約束…六ノ型以上を"原則"使わない…"使っちゃいけない"訳じゃない…)』
技本来の精度が落ちるにしろ、自分の限界の中で技を出す。
「ますますいいね。せっかくだから教えてあげようか」
『…何を?』
「この街の人、随分君を嫌ってるけど何故か知ってる?」
『……』
「君の家族が死んで、君だけがこの街を去ったんでしょ?その後、俺がここに棲みついたんだよね。適当に人間を殺しながら」
『…クズめ』
「ふふ。人間はね、不幸な事が起きると、誰かのせいにしたくなる生き物なんだよ。それが面白くてさ、毎晩1人ずつ喰っていくとね、次は誰だ、ってみんな怯えてた」
『もう…やめろ……』
「はじめは別に君のこと恨んでなかったよ、みんな。でもね、微かに残ってた君の稀血の匂いが、次から次に鬼を呼び、もうどうしようもない状態になった時に、俺が言ってあげたんだ」
『…――ッ!』
「この家の子供の匂いで、化け物が寄ってくるんだよ、って。未だに少しだけ匂い残ってるしねえ」
『……』
そう言われ、言葉も出なかった。
…あぁ、そうだったんだ。じゃあもし私が師範に拾われてなかったら…。
『(…死んでたな、私…)』
「ああ、いいねその顔。好きだよ!最高に!堪んない…!」
『…ありがとう、教えてくれて』
「俺も最期に素敵なプレゼントを貰えたよ、ありがとう」
『…そう。何が貰えるのかは知らないけど』
「君の血肉さ」
『渡すかクズ野郎』
スッ…と静かに刀を構え、息を吸う。
…限界で、止めろ。全身へ、酸素と血を巡らせろ。
『…悪いけど、"柱"の力舐めないでよ』
「は?」
…まだ、他の柱の人達には、到底追いつけない。それでも…
『氷の呼吸 捌ノ型
「!!」
私は、歴とした氷柱だ。
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ヘル - WW (2021年5月22日 0時) (レス) id: 8a8dc3fa13 (このIDを非表示/違反報告)
氷華 - 第45話で絶対たまたまだけど名前出て一人で喜びの舞踊ってた→見られてた→\(^o^)/ (2020年7月20日 0時) (レス) id: 0b06ea8062 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - せりりんさん» コメントありがとうございます!嬉しいです(*^ ^*)更新頑張ります!! (2019年6月24日 18時) (レス) id: 17eabedad2 (このIDを非表示/違反報告)
せりりん(プロフ) - 感動しました!炭治郎流石って感じです! (2019年6月24日 17時) (レス) id: 60b1ee46a3 (このIDを非表示/違反報告)
せりりん(プロフ) - 凄いてんかいっすね! (2019年6月24日 17時) (レス) id: 60b1ee46a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たくあん | 作成日時:2019年6月12日 0時