プロローグ ページ1
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夕立に見舞われ、急いで家に帰ればそこは変わり果てた家族の姿と、ソイツが居た。
「む、まだいたのか…」
『な……んで……』
何となく、"嫌な感じ"が漂っていた。
だから、早く帰ってきたというのに、何故私はいつもタイミングが悪いのだろう。
『お父さん…お母さん…お姉ちゃん…?』
「人間…人間…!まだ…食い足りない…!お前…食わせろ…!」
ぐしゃり
そう音を立て、こちらに来る"ソレ"。
飛びかかってきた瞬間に、走馬灯のように頭の中に流れた記憶。
―――
《ただいまー…ちょっと、電気も付けないでなにして……え…誰…》
《っ!》
《人の家で…なに、して……?》
《う、うわあぁあ!!》
《は…?》
―――
流れ出した記憶に反応するかのように、ドクンドクンと早くなる心臓。
『(そうだ、あれは、"私"だ…私の家族だ…)』
「死ね!!」
『(目の前に…いるのも…家族、だ……)』
ハッ…ハッ…と息が短くなり、全身が熱くなる。
そして、
ドスッ!
「!?」
『よくも…よくも…!!』
――気がつけば、朝日は昇っていて、包丁や鎌、斧、鍬で地面に張り付けられていたソイツは塵となって消えていた。
『(ああ……2度目だ……全部思い出した……)』
前世の記憶――基、死ぬ前の記憶。
本当は社会人になったばかりのただのOLで、ごく普通の家庭で育って、大好きなアニメや漫画を見て過ごしてたのに、あの日、見知らぬあの男に殺された。
…そう、私は1度死んでいる。
『はぁぁ…で、なんで…よりによって…"鬼滅の刃"の世界に転生してんだ………』
もしも神様が居るのなら全力で恨みたい。家族を2度も亡くすなんて経験したくなかった。
『……これからどうすればいいの…』
溢れ出す涙は止まることなく流れ続ける。膝を抱えぐずぐずと泣いていれば、ふわりと誰かが私を抱きしめた。
「大丈夫か?」
『!!』
顔を上げれば知らないお爺さんが居た。でも、悪い人には思えなかった。
「…すまない、もう少し早く着いていれば……」
『……』
「…家族はあの3人だけか?」
『………うん』
「なら、儂のところへ来い。共に暮らそう。儂は
『神凪 A…』
「そうか、Aか…もう大丈夫だ」
――これが、今から6年前の話。この時、まさか自分が"鬼殺隊"に入るなんて思ってもいなかった。
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ヘル - WW (2021年5月22日 0時) (レス) id: 8a8dc3fa13 (このIDを非表示/違反報告)
氷華 - 第45話で絶対たまたまだけど名前出て一人で喜びの舞踊ってた→見られてた→\(^o^)/ (2020年7月20日 0時) (レス) id: 0b06ea8062 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - せりりんさん» コメントありがとうございます!嬉しいです(*^ ^*)更新頑張ります!! (2019年6月24日 18時) (レス) id: 17eabedad2 (このIDを非表示/違反報告)
せりりん(プロフ) - 感動しました!炭治郎流石って感じです! (2019年6月24日 17時) (レス) id: 60b1ee46a3 (このIDを非表示/違反報告)
せりりん(プロフ) - 凄いてんかいっすね! (2019年6月24日 17時) (レス) id: 60b1ee46a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たくあん | 作成日時:2019年6月12日 0時