押しが強すぎるよ轟くん (ページ8)

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せまってくる男子生徒がゆっくりに見える。あ、これは終わった。
これから起きるラッキースケベられに臨戦態勢を取ろうとした。

ずっと肩に置かれていた手が後ろに引かれる。そのまま片腕に抱かれ、氷の壁ができた。男子生徒はそのまま氷の壁にぶつかり崩れ落ちて、またあの悲劇の中に埋もれていった。

「ふぅ」

轟くんが一安心といった風に息を吐く。

「無事か？」

目の前には美麗な顔。目に見えないはずのキラキラなエフェクトが見える。顔に再び熱がこもるのが分かった。こんなのされたら惚れない女の子はいないだろう。

「う、うん。ありがとう」

いつの間にか腰に当てられた手。流れで離してもらおうと身をよじるとなぜかそのままひかれた。グッと近くなる。あたる腰。無意識なのがたちがわるい。

「轟焦凍。名前、お互い入学したら言う約束だろ」

あの日話した約束覚えていたんだ。私は入学できるかわからなかったから、曖昧にごまかした約束。
また、男子生徒がこちらに転んできた。轟くんはまた氷の壁を作って守る。だんだん私の周りは氷の壁だらけで、逃げ道がなくなっていった。壁にどんどん追いつめられる

「それ、今じゃなきゃだめデスカ？」

「だめだ」

即答。
また生徒がこっちにくる。待って、それ以上くると・・・
パキパキと氷ができる。完全に氷で囲まれた。
ひんやりとした空間ができあがった。

「寒い」

「あ、悪い」

轟くんがはっとした顔で言う。よかったこれで氷を溶かしてくれる。
片手を氷の壁に当て、火をゆっくりゆっくりと溶かしていく轟くん。おかしい、このころの轟くんはまだ火の扱い難しいはずだ。無意識？まさか

「名前。教えてくれ」

このためだけに、無意識に炎を調整してるんだ。

「・・・鎖渡A」

「鎖渡・・・A」

私の名前を呟くと、彼は表情を緩めた。その優し気な嬉しそうに綻ぶ小さな笑顔は女子の恋心をすべてさらっていくに違いない。
突如彼の火が燃え盛る。近くで伸びていた男子生徒があちちちと言いながら去っていく。

「これは一体何の騒ぎだ」

相澤先生が来たことで、彼女のラッキースケベられ能力は収束した。

「おい、何してんだ物間」

皆が散っていく中で、一人が立ち尽くしていた。その視線の先には、轟ではなく、目隠しした女子に行っていた。

「見つけた・・・」

真っ赤な顔を隠すように手のひらを口元に当て、そう物間は呟いた