episode：4 ページ6
あれは・・・
「わりぃ。誰だっけ」
あの紅白頭は
「あ、私は茂部壱子と言います。それで、それで・・・あの！」
お、いくな
「好きです！私と付き合ってください」
顔を真っ赤にして言う女の子。顔は決して悪くない。でも、彼は多分
「悪い」
そう彼は表情を変えずにそういった。今の彼は多分、親への気持ちでいっぱいの頃だ。だから、それ以外は興味がないのだろう。
女の子は涙目でお辞儀をして走り去っていった。さらにと白い髪が揺れる。それに気づきまずいと姿をさっと隠した。
「・・・気のせいか」
やっぱりこっちを見たんだ。何度もこういう場に遭遇すると自然とカンが鋭くなった。砂利を踏む音が遠ざかってやがて聞こえなくなる。息を一つついて私は箸を再び動かした。
「あー！！いましたわ！！」
ある雨の日。私にとって絶好調の日。遠くにいた八百万さんは珍しく声を上げていた。
それにそばにいたヒーロー科のＡ組の人立はなんだなんだとこちら見る。
「あれって、鎖渡さん？」
八百万さんの後ろから麗日さんが私を見てた。知り合いか？という周りの言葉に麗日さんが元クラスメイトだと紹介した。
そのまま八百万さんはこちらに近づいてくる。
「鎖渡さん。前の約束覚えてますね？」
前の約束。それは雨の日なら目隠しを外せると話した時、ぜひ見せてほしいというお願いに同意したことだろう。
というかそんなに見たかったんだ。
「え、うん。目隠しの下の話だよね？別に面白いものはないけど」
その会話に私のクラスメイトもなんだ？目隠し取るのか？とわらわらと集まってきた。Ａ組の人も八百万の後に続いて近寄ってくる。気が付けば私の周りには人だかりができていた。
自然と顔に熱がこもる。
「さあ。鎖渡さん！」
たくさんの目が私を見つめる。
もうどうにでもなれ
私は目隠しの留め具をパチンと取った。
なんか、まるでみんなの前で裸になる気分で恥ずかしい。
ゆっくりゆっくりと目を慣らしていきながら開けていく。
髪の色と同じ真っ白のまつ毛と空色の瞳がみんなの前に晒される。
「うわー。もともとお人形みたいに綺麗だと思っていたけどさらに磨きをましたっていうか」
「うん。個性のせいとはいえ隠れているのがもったいない」
クラスメイトがざわざわと声を出す。羞恥でいたたまれない。
「ええ。ええ！やはりとても美しいですわ！」
八百万さんが手を握って近くで見つめてくる。
もういっそ殺して
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作者名：あおい | 作成日時：2023年4月15日 21時
