episode：3 ページ5
その後見事合格した私は、寮ではなく施設から通うことにした。理由はいろいろあるが、適当にごまかす。
施設の、私にとっては親に当たる職員達が涙を浮かべて喜び、同じくらいの人たちは悔しさと嬉しさを混ぜながら祝福してくれた。下の子たちはにこにこと抱き着いて祝福してくれた。
血は繋がってなくても、みんな私の、私たちの大切な家族だ。
私は世界を守ろうなんて考えていない。ただ、ここの家族がいつか旅立つとき、今より平和な世界になってほしい。ただそれだけだ。
先月、入ってきたばかりの１歳の子と額を合わせる。
「行ってきます」
入学してからは、そこそこクラスメイトと話した。さすが雄英ということもあり普通科のはずが普通の人が少ない。
お昼になると、私は急激に元気がなくなる。日差しが強い時間はどうしても目が疲れてくらくらする。
この学校は窓が多いため、私には毒に近しかった。
クラスメイトの誘いを断り、どこか日差しの少ない場所を求めて彷徨った。
ふらふらと歩いていると人にぶつかった。
「あら、ごめんなさい。ってあなた大丈夫ですの？」
視界を上げるとそれは見たことのある顔だった。
「大丈夫です」
くるりと背を向ける。しかしそうは相手が許さなかった。
「具合悪そうな人は見過ごせませんわ」
これは、本当に見過ごしてくれなさそうだ。私は息を吐くと彼女に向き直る。
「私、鎖渡A。私の個性のせいで日差しに弱いんです。ですから日差しか少ない場所は知りませんか？できればライトがキラキラした場所も控えてほしいです」
「私は八百万百と申します。そうでしたのね・・・でしたらこれはどうでしょう？」
そういうと彼女は真っ黒はテントを取り出した。いや、作った。
「こちらは遮光カーテンを応用して作りました。場所は分かりませんがお役に立てれればいいのですが」
私は関わらないと決めていたのに気が付いたら手をとっていた。
「ありがとう。本当にありがとう。神様女神様」
「え、ええ。お役に立てたのならよかってです」
彼女は引き気味に答えた。
それから私は人気のない倉庫でご飯を食べていた。時々八百万さんが気にかけてくれて、話すくらいの仲にはなった。
そしていつものようにご飯を食べていた時だった。
「あ、あの・・・私、私ッ。前からあなたのことが」
あ、また
体育館倉庫の裏。ここは告白場所にはうってつけ
さて、今回は何年生の告白だろうと、私は倉庫内の道具を動かして小さな高い窓から見た
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作者名：あおい | 作成日時：2023年4月15日 21時
