押しが強すぎるよ轟くん (ページ3)

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Episode:2 ページ3

キーンコーンカーンコーン

授業終了の鐘の音に、ハッと意識を戻した。

「鎖渡さん？」

「麗日さん」

今日同じく日直の麗日さんが声をかけてきた。おそらく、日誌の依頼だろう。

「大丈夫？ぼーっとしてたけど」

「うん。大丈夫。今日日差しが強くて目が痛いなぁって思ってたの。日誌でしょ？私の欄書くよ」

「そっか。鎖渡さん目がすごくいいんだもんね。目も良すぎると大変なんだね」

麗日さんが日誌を渡してくれて、私が記入するのを待ちながら話す。

「うん。大変だよ」

日誌から目を離さず私は答える。私の個性の特性上、私は常日頃から目隠しをしている。個性的なのが魅力的なこの世界では、違和感なく受け入れてくれるのが救いだろう。

私と麗日さんはただの同級生。麗日さんと親友なのは

「お茶子～。日直まだー？？」

彼女、歌川陽向だ。あれほど強い個性、ヒーロー科志望。美麗な容姿。まず間違いなく転生者だろう。少々気が強いところがあるが、根はとてもいい子だ。

「うん。もうちょっと！先に玄関で待ってって～」

「いいよ。私で最後だし、やることも報告だけでしょ？やっとくよ」

「えでも」

「いいからいいから」

ひらひらと手を振ると、ありがとう！と元気なお礼を言って彼女たちは出て行った。
静かな教室にペンの走る音だけがなる。

私はヒーロー科にはいかない。行けない。

あんなものを見てしまってた
あんな現実を知ってしまったのだから

彼女らとの距離感はこれでいい

「鎖渡。お前は雄英の普通科志望だったな」

「はい。雄英に入れば私達施設の援助や寄付も増えますし」

「そうか」

彼らと関わる気はない。
しかし、私は私のやるべきことがあるのだ。

その為には、因果といってもいい彼らたちとの遭遇は避けられない。
私はただのモブに徹したらいいのだ。