5話 ページ5
「うわ〜〜〜！？！？な、なんで私生きて！！」
次に目が覚めたのは、前とは違って木がグサグサ刺さってくるような環境ではなく今までで1番ふかふかで暖かいベッドの上だった。
ガバリ勢い任せに起き上がり脳内に流れてきた言葉をそのまま叫ぶと何故か落ち着いてきて あぁそう言えばなんかやばそうな森の中にいてアイエンさんというトンデモ美少年が助けてくれたんだった…と思い出す。
それに『吸血鬼』と言っていたことも。
吸血鬼って何？童話の世界？もしかしたらアイエンさんがそういった黒歴史的な何かを現在進行形で更新しているのかもしれない。そう思うことにしておこう。そんなタイプには見えないことも知らないフリしよう。
そんな様に脳が追いつかない現状の整理を頑張って頑張ってしていたから、気づかなかった。
私のことをかなり引いた目で見る人…じゃないかもしれない人？に。
「なに、怖…。」
「うわっ！？誰！？」
「正直こっちのセリフなんだけど。3日も呑気に寝込んでおいて起きたと思えば意味のわからないことを叫んでる人間を見なきゃいけない気持ち、わかる？」
いやわかんないよ！逆にトラックに轢かれたと思えば意味のわからない森で目覚めてイケメンに助けられてそのイケメンが吸血鬼かもしれなくてパンクして気絶してまた起きたら違うタイプの顔整いがいた気待ち、わかる？とでも言おうと思ったけれどそれを言葉にできるほど頭が回るより先に彼に「あんたが起きたら連れて来いって言われてるから」と腕をひかれた…というか強めに引っ張られた。
「待って下さい、せめて名前教えてください！」
「は？なんでこの状況で名前聞こうと思うの？」
「え、なんとなく……？」
「はぁ…本当に意味わかんないんだけど」
目覚めてすぐ腕引っ張ってくる人の名前くらい知りたいって思うの、割と普通のことじゃないの？と思うもスルーされたからには仕方ない、なんて考えていたら彼は少し視線を逸らしてバツの悪そうに「…リノ」と答えた。
「教えてくれるんだ…………………」
「そっちから聞いたんだろ」
「私、そっちじゃなくて名前あります」
「ああもう、知ってるから早く行くよA！」
「知ってるんだ！？」
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作者名：人間 | 作成日時：2024年1月7日 20時
