15話 ページ15
柔らかい髪を撫でながら乾かすこと約十分。ある程度乾き終わり、電源を落とすと、今まで何の動きも見せなかった冴が再び俺の腕を引いて寝室へと向かう。
着いた途端腕を掴んだまま冴がベッドに倒れるように重心を傾けたので、俺もそれにつられるように共に倒れ込む。視界には冴の顔が映し出されていて、冴の瞳にも俺が映っているのが見える。
冴の瞳越しに見る自分の顔は、随分と酷い顔をしていた。たしかにこんな顔では冴に心配をかけてしまうのも無理は無い。こんなとこまで似なくて良かったのにな。思わず苦笑がこぼれた。
それをどう受けとったかはぼんやりとした頭ではあまり分からなかったが、辛そうに眉を寄せる冴の顔を見て失敗したことだけはわかった。
先程の続きとでも言うように強く抱きしめられる。俺もそれに応えるように冴の背中に手を回し、抱きしめた。この温もりが、離れていかないように。
そして俺たちは、お互いの存在を確かめるように身を寄せて眠った。
ゆっくりと深い眠りに落ちていく俺の額に、柔らかくて暖かい感触が伝わるのを感じながら。
冴。俺の片割れ。
今夜だけでもいい。どうか俺を強く掴んで離さないでくれ。
1人に、しないで
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鷹央(プロフ) - pixivでも掲載しています。ややこしいことをしてしまってすみません (2023年3月15日 21時) (レス) id: 4cc9baeca7 (このIDを非表示/違反報告)
サイラ(プロフ) - 失礼ですが,pixivでも活動していらっしゃるんですか? (2023年3月11日 0時) (レス) @page2 id: 25e3ef7092 (このIDを非表示/違反報告)
しゃけ(プロフ) - コメント失礼します。とても綺麗な文章と素敵なお話で読んでて胸が締め付けられました……!!続きが気になって仕方ありません。これからも応援しております!体調にお気を付けて更新頑張って下さい!!素敵な作品をありがとうございます! (2023年3月5日 20時) (レス) @page13 id: 31d680217c (このIDを非表示/違反報告)
真昼 - めっちゃ最高でした!!糸師兄弟がとても好きなので、嬉しかったです!無理しない程度に頑張って下さい(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾ (2023年3月5日 3時) (レス) @page7 id: 4aa49d82fe (このIDを非表示/違反報告)
鷹央(プロフ) - わざわざ教えてくださってありがとうございます! (2023年3月4日 22時) (レス) id: 4cc9baeca7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茨姫 | 作成日時:2023年3月3日 23時