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14話 ページ14

あれから俺たちは冴の泊まるホテルへと来ていた。先に風呂に入った俺は、ソファに座りながら冴が上がってくるのを待っていた。


何かをするわけでも無くぼーっとしていると、遠くから扉の開く音が聞こえてきたので冴が風呂から上がったのだろう。


待っていた冴が出てきたというのに何故か動く気になれず、近づいて来る足音に耳をすませながら瞼を伏せる。


冷、と声をかけられて冴の方へゆるりと視線を向ける。そこには隈を作り、疲れきった顔をした冴がいた。


電話越しとはいえ相談には乗っていたが、どうやらそれだけでは足りなかったらしい。痛々しい姿の冴が見ていられなくて、乾ききっていない頭を抱き寄せてソファへと共に沈み込む。


濡れた頭からは冴の温もりを感じ取ることが出来ず、その温もりを確かめるように強く抱き締めた。


抵抗の意志も見せずに倒れ込んできた冴が、俺の体を確かめるように力強く抱きしめる。少し息苦しく感じるそれを、俺は目を閉じて受け入れた。


しばらくそのままの状態で過ごしていると、冴が俺の顔の横に両手を起き、ゆっくりと体を持ち上げる。


俺は冴の首元に巻き付けていた腕をするりと解き、そのまま力を抜いて辺りへと散らばるように投げ捨てた。静かに俺を見つめる冴の瞳は、どこか苦しげな色を滲ませていた。


俺の顔の横に置かれていた2本の腕のうち1本を持ち上げた冴は、そのまま流れるように俺の頬へとその手を寄せる。


ひんやりとしているのに、安心感を覚えさせるその大きな手は、俺の顔を包むように添えられている。その気持ちよさに目を閉じて縋るように顔を擦り寄せた。


ある程度堪能してから閉じていた瞳を開ける。ポタリと冴の髪から水がつたって落ちてきた。その水は冷たく、かつてあった温もりが消え去り、冷えきっているのは分かりきったことだった。



「冴、髪を乾かさないと風邪をひいてしまう。」



「………」



「冴」



なんの反応も示さない片割れをじっと見つめるが、やはり動かない。



「冴、俺はお前のことが誰よりも大事だ。だから、お前の体に何かあったら気が気じゃない。」



頼む。そう言い聞かせるように静かに告げると、一度目を閉じた冴は、再び目を開くと俺の腕を掴んで起き上がる。そのまま離さず洗面所へと戻るので、抵抗せず冴のしたいようにさせた。


髪の毛を乾かせと言う意味なので、洗面所に着き次第引き出しからドライヤーを取り出して電源を入れる。

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鷹央(プロフ) - pixivでも掲載しています。ややこしいことをしてしまってすみません (2023年3月15日 21時) (レス) id: 4cc9baeca7 (このIDを非表示/違反報告)
サイラ(プロフ) - 失礼ですが,pixivでも活動していらっしゃるんですか? (2023年3月11日 0時) (レス) @page2 id: 25e3ef7092 (このIDを非表示/違反報告)
しゃけ(プロフ) - コメント失礼します。とても綺麗な文章と素敵なお話で読んでて胸が締め付けられました……!!続きが気になって仕方ありません。これからも応援しております!体調にお気を付けて更新頑張って下さい!!素敵な作品をありがとうございます! (2023年3月5日 20時) (レス) @page13 id: 31d680217c (このIDを非表示/違反報告)
真昼 - めっちゃ最高でした!!糸師兄弟がとても好きなので、嬉しかったです!無理しない程度に頑張って下さい(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾ (2023年3月5日 3時) (レス) @page7 id: 4aa49d82fe (このIDを非表示/違反報告)
鷹央(プロフ) - わざわざ教えてくださってありがとうございます! (2023年3月4日 22時) (レス) id: 4cc9baeca7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:茨姫 | 作成日時:2023年3月3日 23時

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