12話 ページ12
「ごめん、お前の期待に、答えられなかった。」
そう言って笑うAに、自分の顔がさらに歪むのがわかった。
頼むから、そんな顔で笑わないでくれ。泣き出すことすら諦めたその顔に、こちらが泣き出したくなる。
あぁ、本当に。こいつはどこまで行っても馬鹿だ。まごう事なき馬鹿だ。そして、俺はそれ以上の馬鹿だった。毎日電話をしていたのに、Aを守る為に電話をしていたのに、気づきもしなかった。自分のことばかりで、こいつを気にする余裕なんてなかった。
言い訳でしか無かった。こいつの前では、どんな綺麗事もただの言い訳へと化した。
守ると約束したのに。何があっても守ろうと誓った。それなのに結果がこれか。我ながら笑ってしまう。挙句Aに支えられていたのだから、本当にどうしようもないやつだ。
俺は今にも消えてしまいそうなAの体をかき寄せるように抱きしめた。こうでもしないと、どこかに行ってしまいそうな気がしてならなかった。
「………お前が話してくれるまで、何も聞かない。でも、これだけは答えてくれ。」
あの日の衝撃は今でも覚えている。気まぐれに見た記事。そこにはAがFWとして出してくれない監督に不満を抱き、殴り倒して退団したという内容がのっていた。思わず目を疑った。
あのAが？そんなはずは無い。あいつは実力で黙らせる人間だ。完膚なきまでに実力を見せつけて相手の心をへし折る。こんなくだらないことをするやつじゃないのは俺じゃなくてもわかる事だった。
記事はまだ続いた。普段からFWとして出れない不満をチームメイトにぶつけていたこと。差別をしていたこと。この世のものではないものを見ている気分だった。それを信じる世間も、何もできない無力な自分も。全てを嫌った。
本当は、会ったら問いただすつもりだった。でも、聞けば本当にこいつが消えてしまいそうで、聞こうにも聞けなくなってしまった。
だから。
「監督を殴ったのは、なんでだ？」
答えなんてわかりきった質問だった。だけど、お前の口から聞きたかった。どこか不安に思う俺の気持ちを全てかき消して欲しかった。
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鷹央(プロフ) - pixivでも掲載しています。ややこしいことをしてしまってすみません (2023年3月15日 21時) (
レス) id: 4cc9baeca7 (このIDを非表示/違反報告)
サイラ(プロフ) - 失礼ですが，pixivでも活動していらっしゃるんですか？ (2023年3月11日 0時) (レス) @page2 id: 25e3ef7092 (このIDを非表示/違反報告)
しゃけ(プロフ) - コメント失礼します。とても綺麗な文章と素敵なお話で読んでて胸が締め付けられました……！！続きが気になって仕方ありません。これからも応援しております！体調にお気を付けて更新頑張って下さい！！素敵な作品をありがとうございます！ (2023年3月5日 20時) (レス) @page13 id: 31d680217c (このIDを非表示/違反報告)
真昼 - めっちゃ最高でした！！糸師兄弟がとても好きなので、嬉しかったです！無理しない程度に頑張って下さい(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾ (2023年3月5日 3時) (レス) @page7 id: 4aa49d82fe (このIDを非表示/違反報告)
鷹央(プロフ) - わざわざ教えてくださってありがとうございます！ (2023年3月4日 22時) (レス) id: 4cc9baeca7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茨姫 | 作成日時：2023年3月3日 23時
