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1話 ページ1

俺には生まれた時からずっとそばにいる存在がいる。それは世間では双子と呼ばれていると知ったのは物心ついた頃の話。



俺の片割れであり唯一無二の存在でもある双子の冴は、俺にとって自分以上に大切な存在だった。どこにいく時も、何をする時も二人でいた。親とも友達とも違う、彼らには超えられない何かが俺たちの間にはあった。お互い口数は少ない方だったがわざわざ口にしなくても何がいいたいかはわかったし、何を考えているのかもわかった。



冴はサッカーが好きだ。サッカーをするために生まれてきたような子供だった。小さな頃から才能を発揮して、周りの賞賛と好奇の目を一心に浴びるような子供。と言う俺も、冴と同じく才能を発揮し、二人で天才コンビなんて呼ばれたりもした。



二つ下の、俺たちの宝物の凛も混ぜて3人でよくボールを蹴っていたのを覚えている。あの頃は楽しかった。何も知らず、ただ純粋にサッカーを楽しんだ。ボールを蹴って、蹴って、蹴って。終わりの見えないそのやりとりは、いつも夕暮れの明かりと共に終わり告げた。そんな、3人でやるサッカーが楽しくて、大好きだった。いつまでもこうしてサッカーをしていたかった。



サッカーをしていくにつれ、凛にもサッカーの才能があるのを感じた。おそらく俺や冴よりもストライカーとしての才能は上だ。何かしらの証拠があるわけでないが、確かにそう感じた。本能で感じたと言ってもいい。このことには当然冴も気づいているようで、何かしら思うところがあるようだった。


冴のプレースタイルは「美しく壊す」。それに対して凛のプレースタイルは「醜く壊す」。対極に位置するはずの二人のプレーは、いつ見ても気持ちのいいものだった。いつまでも見ていたいと思わせられた。


そんな二人を見て、俺はいつも夢見ていた。オールラウンダーになって、どこにでも駆けつけて二人を輝かせる。そして俺がボールを操ってゲームを整え、凜と冴がシュートを決める。そんな夢を。


そんなある日、俺たちはある約束をした。3人で世界一のストライカーになると言う約束。それを聞いた時3人だと世界一にはなれないんじゃないかと思ったが、あまりにも無邪気に弟が笑うから、俺はその夢を否定することなんてできなかった。冴と二人、目を見つめあってしょうがないな、と言うように眉を下げる。

2話→



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鷹央(プロフ) - pixivでも掲載しています。ややこしいことをしてしまってすみません (2023年3月15日 21時) (レス) id: 4cc9baeca7 (このIDを非表示/違反報告)
サイラ(プロフ) - 失礼ですが,pixivでも活動していらっしゃるんですか? (2023年3月11日 0時) (レス) @page2 id: 25e3ef7092 (このIDを非表示/違反報告)
しゃけ(プロフ) - コメント失礼します。とても綺麗な文章と素敵なお話で読んでて胸が締め付けられました……!!続きが気になって仕方ありません。これからも応援しております!体調にお気を付けて更新頑張って下さい!!素敵な作品をありがとうございます! (2023年3月5日 20時) (レス) @page13 id: 31d680217c (このIDを非表示/違反報告)
真昼 - めっちゃ最高でした!!糸師兄弟がとても好きなので、嬉しかったです!無理しない程度に頑張って下さい(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾ (2023年3月5日 3時) (レス) @page7 id: 4aa49d82fe (このIDを非表示/違反報告)
鷹央(プロフ) - わざわざ教えてくださってありがとうございます! (2023年3月4日 22時) (レス) id: 4cc9baeca7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:茨姫 | 作成日時:2023年3月3日 23時

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