10話 ページ10
周りはと言えば、突然表情の消えた彼女(もともと豊かではない方)にひぃと悲鳴をあげて慄いた。怖すぎる。アレならホラー映画を見て叫んでいる方がマシだ。
そしてそれに対面してもなお逃げ出さずに立ち向かう凛は、魔王に立ち向かう勇者のように見えた。
姉からすれば、今まで反抗してこなかった凛の初めての反抗である。先ほどの反抗期のくだりはまだ可愛らしいものであったから許容範囲を超えることはなかった。しかしこれは別であった。
「……ここに残る？わたしのいうことにも聞かず？どうやらここにいる間に随分とわがままになってしまったらしい。昔はあんなに素直だったというのに。あぁ、やはりだめだ。離れるべきではなかった。」
「いっそのこと、この施設ごと潰そうか。」
そう言った彼女だが、実際それだけをできる力も権力も名声もあるので冗談と吹き飛ばすこともできない。
糸師Aという存在によってブルーロックは存続の危機に立出されることになる。
そこに運よくというか運悪くというか、たどり着いた管理者二人が慌てて間に入ってきた。それに眉を顰める彼女だったが、気にしてる余裕はない。流石に相手が彼女とは言えど、黙って見ていることはできなかった。
「ちょ、ちょっと待ってください！潰すってどういうことですか！？ちゃんとした説明をお願いします！」
立ち直った帝襟は強かった。本当は服の下で握りしめた拳はブルブル震えていたし、見たこともない顔で怒る彼女に恐怖しかなかったが、ここを潰されるのは流石に止めなければならなかった。
そう、たとえ相手が女神であろうとなんであろうとも。
「騒がしい。わたしに意見するな。わたしのことを決めていいのはわたしだけ。わたしはわたし以外の人間からは指図を受けない。たとえそれが最愛の弟であろうとも。」
「引っ込んでいろ、害虫が。貴様に要はない。」
帝襟、クリーンヒット。最推しに暴言を吐かれた帝襟は、色々な意味でたまらず胸を押さえてダウンした。流石にこれは周りも同情した。
彼女は尊い犠牲だった。彼女の勇姿に賞賛を。アーメン。
「1on1してくれ、姉ちゃん。それで俺が勝ったら認めてほしい。」
あまりの無謀な賭けに周りは無茶だ、やめとけ、死ぬぞと凛を止めようと声をかけるが既に言ってしまった手前、ひくことはできない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 365人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鷹央(プロフ) - pixivでは「何様俺様お姉様な糸師家の最恐お姉様」というタイトルで載せてあります (2023年2月16日 18時) (
レス) id: 4cc9baeca7 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - pixivやってますか？ (2023年2月13日 15時) (レス) id: 6868ad981d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：茨姫 | 作成日時：2023年2月3日 0時
