15話 ページ15
何が言いたいのかというと。
本来彼女は他を愛することも関心を持つこともできず、自分のために生き、そして死ぬことしかできなかった。
つまり、神に授けられた数多の授かりものを使い、他のことなど考えることなく自身のための世界を作るはずであった。
そこにあるのは戦争など生温い、対立することすら許されずにただ蹂躙される未来が待っていた。
だが家族、特に兄弟という存在が彼女の心の半分を巣食ったことにより彼女は他への思いやりと情を得た。自身への半身へ関心の天秤を傾けた。
故に彼女は自分だけを愛し自分だけの世界を作ることをやめた。自分だけの世界を作れば弱く脆い家族は壊れてしまうから。
彼女にとっての家族とは、自身の自由を奪い地に縛り付ける呪いでありながら孤独に苛まれ破滅へと進む道を閉ざす祝福でもあった。
さて、そんな家族が喧嘩をするとどうなるか。喧嘩とはその関係に亀裂をもたらす。そして時によっては全てを破壊してしまう。
彼女は家族から解放され自由になる願望と共に破滅への恐怖を本能で感じていた。
つまり家族が壊れるを本能で拒否しているのだ。
そんな彼女が家族の喧嘩を見た時の荒れようは凄まじかった。なにしろ本能が恐れ拒絶しているのである。
ちなみに一度彼女の前で喧嘩をしてしまった弟二人はその日地獄を見た。いや、地獄すら優しいと思えるくらい恐ろしかった。姉のガチギレはとにかく恐ろしかったと二人は後に供述している。
夏場であるのに冬かと勘違いしそうになる程冷たくなった空気。
この世のものとは思えないほど悍ましく鋭い殺気。
光を無くし、まるでこの世の深淵を覗いたかのような暗さを纏った瞳。
息をすることすら許されない重い重い圧。
あまりの恐ろしさに自由に動かない体。
この世の絶望がまさに目の前にいた。二人は泣くことすら許されずにただひたすら震えていた。あまりにも怖すぎた。仮にも当時小学生だった子供が見ていいものではなかった。R_18どころの話ではない。
ガチギレモードが終わった後、ギャン泣きした二人を先ほどとは打って変わって慈愛に満ちた顔で抱きしめる姉の腕の中で二人は決意した。
姉の目の前で喧嘩をするのはやめよう。俺たちが死ぬ。
そう目線で語り合った二人の目は死んでいた。
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鷹央(プロフ) - pixivでは「何様俺様お姉様な糸師家の最恐お姉様」というタイトルで載せてあります (2023年2月16日 18時) (
レス) id: 4cc9baeca7 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - pixivやってますか？ (2023年2月13日 15時) (レス) id: 6868ad981d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茨姫 | 作成日時：2023年2月3日 0時
