Ep.12 ページ21
「ただいまー」
いつものように金曜日の夜、悟のマンションに行くと
悟がいつも以上に強く抱き締めてきた。そのまま碧を抱き上げ、リビングに運ぶ。
そして碧を抱きしめたままソファーに座った。
「んっ.....どうしたの?」
苦しいよ、と悟の背中を軽く叩くが全く放す気配が無い。
仕方ないので碧は悟の頭を優しく撫でて、悟が満足するまで待ってることにした。
しばらくしてゆっくり悟が碧を放す。
「どうしたの悟....」
「.......あのさ.....、」
とても何か言いたそうな顔をしているが、喉まで出掛った言葉をなんとか堪えているように見えた。
「なに?」
悟は、うーんと唸りながら髪を掻く。
そこで碧の表情が途端に曇っていく。恐らく自分には言いづらい何かがあるのだろうか、と不安を抱いてしまったのだろう。
それに気づいた悟は慌てて、違う違う!と首を振るが、碧の不安は曇った顔は晴れない。
(うわ.....俺最低じゃん)
罪悪感にかられ、悟は再び碧を抱きしめる。今度はとてつもなく優しく、包み込むように。
「ごめんね.....碧は悪くないよ。俺の問題。」
消え入りそうな声で呟く悟に、碧は目を丸くした。
("俺" って言った.......)
そう、悟の一人称が "俺" になるときは、余程切羽詰まったときか、疲れているときだ。
「大丈夫だよ、ずっとここにいる。」
安心させるようにそう言うと、悟は嬉しそうに、ありがとう。と言ってから数分もしない内に寝息を立て始めた。
この姿勢で寝られるのはキツい。
そう思ったが、今は目の前の彼に休んで欲しくて、今回は見逃してやることにした。
54人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
IsANe(プロフ) - とあるモチさん» コメントありがとうございます! ご期待に添えるよう頑張ります!! (2020年5月12日 1時) (レス) id: 8fefbb8a59 (このIDを非表示/違反報告)
とあるモチ - めっちゃおもしろいです棘カッコいい!!これからも更新がんばって下さい!! (2020年5月12日 0時) (レス) id: b97e9ef115 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:IsANe | 作成日時:2020年5月7日 6時