Adagio4【プリンシパル番外編 SVT】

ノクターンをきみに ページ19

ある時7周年の動画を観ていたら、ヌナが静かにただ、耐えるように涙を流していた。


あの時間沢山話をしながらメンバーそれぞれの表情を見ていたつもりだったけど、あまりに静かで、あまりに強くあろうとしていてその時は気付くことが出来なかった。



イ Aにモナという名を与えられたその瞬間からヌナはグループの長女として生きてきた。
それがどういうことか、側で見て来た自分ですら計り知れない苦労があった。


デビューしてから暫くはヌナとハルはメンバーと身体が触れ合うことはほぼ無かった。ハイタッチ止まりで、肩を組んだりハグをしたり今じゃ当たり前だけど当時はタブーの様になっていた。

本来そんな感じじゃ無いのにクプスヒョンを助ける為に自分もメンバーを注意したり監督する立場に回った。今じゃ絶対に怒らせたくない人の1人。

事務所外の友達だって作らない様にしてた。
今じゃSMの人達や、BLACKPINKの名が挙がるけど昔はジョイさんだけだった。


ヌナは、いつだって在るべき姿を自分で作り上げて"モナ"で在り続けた。

それが少しずつ、溶けていく様になったのはあの時だったと思う。



＊



初日、ハルが周りから貰ったローリングペーパーを聴きながら、涙を流す姿を見て安心したような表情を浮かべていたのを見ていた。



ハルはモナヌナ以上にメンバーと絡むことを怖がっていて、ヌナの隣にいることが多かった。


そんなハルが"ハルが皆のことを考えて線を引いてるのを皆分かってる。もう少しその線を飛び越えて僕たち一緒にいよう。大好きだし大切だから。守らせてほしい。"と、多分表情からしてクプスヒョンなんだけど、それを聞いて見たことないくらい泣いていた。


2日目はパフォーマンスチームの時間になってからモナのはオレが読みますね。とバーノンが紙を開いた。



開いた紙は、少し離れた自分の位置からも分かるくらいビッシリと埋められていた。

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