Adagio2【プリンシパル番外編 SVT】 (ページ8)

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下ろしていた足を上げて、チェアに乗せると反動で揺れる。

『前に1度、好きだって言ったこと覚えてる？』

「…覚えてる。もう何年も前な」ぶっきらぼうなその言い方は照れてる証。

『あの時はなんだかお互い子どもの告白みたいだったじゃない。』

「やめろ、ちょっと今既に恥ずかしい」

『あの時はあんまり悩んで無くて、ただ言っちゃったけど、重みが増した気がしてる。特別だって想いもだし、大切にしていきたいなって気持ち。』

「……」

『なんちゃって、』と体育座りのまま顔だけを彼の方に向けると目の前に顔があって、『あ』と声が漏れる前にそれは消えた。

唇に熱を感じて、瞼を開いたまま。

すぐに熱は離れて、それでも顔の距離は目の前のまま、彼と目が合ってほんの1.2秒。

何も言わずに今度は瞼を閉じた。

体重が少し片方にかかったからチェアがまた揺れた。

『……急ですね』

「あまりに、愛しく思ったから。それ以上無いよ。」

『そういうのにもいちいち照れない様になりたい。』

「いいよ照れてるのが可愛いから」

『……酔ってる？』

「ぶっ飛ばすぞお前」

＊
漢江沿いのベンチに腰掛けて、コーヒーを吸ったところで、今回の1番お世話になった人にお礼を言うべきだろうと、トークルームを開いた。

"オッパ、曲が無事完成しました。
何もかも…兎に角色々ありがとうございました。"

送って本当すぐに既読がついて、着信画面になった

『もしもし？オッパ？』

"A？お疲れ様。"

『お疲れ様です。無事に終わりました。』

"おー良かったリリース楽しみにしてる"

『あの…この間の話聞いて下さって…みっともない姿お見せしてすみませんでした。』

冷静に考えて大先輩の前でメンバーにも言えないことを言って泣いた挙句寝落ちするなんて。あの日の夜ベッドで1人思い出して暴れようかと思ったくらい恥ずかしかった。

「話？何かしたっけ。」

『…………ありがとうございます。』

とぼけた電話の相手の優しさに思わず口角が上がってしまう。

『私、シュガオッパに一生頭上がらないですね。呼ばれたらどこにでも行きますし、なんでもしますよ』と言うと今度はオッパが笑う番だった。

「じゃあ、オレが今後仕事を依頼しても断んなよ」

『もちろんです。』

「モナ」

『はい？』

「お前はお前のままで良いんだよ。よくやってる。本当に。」

ぶっきらぼうだけど、柔らかい。彼と似たトーンの声。

『ありがとうございます。オッパ。』