Adagio2【プリンシパル番外編 SVT】 (ページ28)

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あれから暫くカラオケを楽しんだ私達は、なんとかどうにか片付けまで終わらせて、日付けが変わった頃にそれぞれの部屋に入った。

「オンニ、起きてる？」

足元の方にあるベッドから小さな声が聞こえて閉じていた瞼を開けた。

『うん、起きてるよ。どうした？』

「ちょっと外出ない？」

2人でメンバーが寝静まった中、下に降りてプールサイドに腰掛けた。

『アイツらがバシャバシャ水掛けるからここに座ることも出来なかったわ』

「容赦ないからね皆」

膝下までプールに脚を入れると、真夜中ということもあって「冷た…」と声がでた。

「今日楽しかったね」

『ね、やっぱり遊びに来るのは楽しいね。』

後ろに手をついて、爪先を少し動かすと水面が揺れる。

「オンニ、何で私に歌をリクエストしたの？」

『…やっぱり嫌だった？』

「全然。だけど何でかなって気になった。」

『なんか………この子が選ばなかった方は一体どんなものだったんだろう、って思って』

「今だから色々考えたんだね。」

再契約の話を進めてる今だから。と続けて彼女も脚を動かした。

これからSEVENTEENとしてまた歩んでいくか？と皆で顔を突き合わせた時、"このまま皆で走っていこうよ！"そう言い切れない現実があった。

仲は良いし、家族みたいだ。一緒にいたら幸せ。だけどそれ以前に私たちは1人の人間で自分の人生を生きてる。

今までの活動を通して、得たこと学んだこと感じたことは人それぞれ。

自分はどこで、誰と、どんな風に、何をして生きていきたいか？

私は正直表に立つことに拘りが無くなっていた。そしてまた自分に何かが起きてチームに影響を及ぼしたらどうしようといった不安。
　
ソロをやりたいホシ、このメンバーでまだまだ一緒にいようよというメンバー。現実的にお金の問題だってあって頭を悩ませていた。

その中で、ハルが日本でやっていたこと。それを続けていく未来だってあったのに単身で韓国に来て縁もゆかりもない土地で、知らない男の子達と生活、そしてラップにダンスをする道を選んだ。

彼女が選ばなかった方は、一体どんなものだったのか。単純にそれが気になった。多分、今だから。