春が見た景色 ページ15
黒ベロアのダブルジャケットにフルレングスのフレアパンツ。
真っ黒にした髪の毛は、肩で切り揃えられて、目元はシルバーのグリッター。
キリッとした目元にキラリとグリッターが光ってより魅力的に映る。
グループのオールラウンダーであり私の自慢の姉であり親友。モナオンニは、いつだって私に背中を見せて道を示してくれた。日本から韓国に来て慣れない中で、助けてくれて支えてくれた人。
ずっと見てきたからこそ、彼女が辛そうな時期は分かったし、特に今年の初めの方ミニアルバムの準備をする過程で歌詞を見ている時にボーッとしていたり、休みの日はメンバーとあまり過ごさず、1人でカフェに行ったり事務所に籠ったり。
「ハル、大丈夫？」
「私は大丈夫。オンニは大丈夫じゃないけど。」
ウジオッパならどうにかしてくれるかもと行くように促して私はスングァンとカフェに来た。
周りに誰が居るか分からないからいつもより声を控えた。
「ヌナ、やっぱりあんまり良くないの？」
「やっぱりって？」
「前レコーディングの時もボーッとしててさ。熱あるのかと思った。」
「きっと、周りには計り知れない何かがあって1人で抱えてるのかなって、昔からあんまり話す人じゃないから」
「ヌナは、そうだね。そういう時ヌナは、弟達には申し訳なくて強い姉でいたくて話さないし、ヒョン達には自分より弟達を優先して欲しくて話さないし。」
「私は………」
「ハルは、辛かった時どうだった？」
韓国語が分からなくて、英語が話せるバーノンとシュアオッパとよく話してた。
ラップとダンスは無縁で、だけど頑張るしかなくて。
15人の共同生活。オンニは慣れない日本語を学びながら話してくれて、今では私が居なくてもライブでMCが出来るくらいになった。
デビューしてからもただ手を繋いで、腕を組んで隣にいてくれただけで、気が楽になった。
同い年のスングァンとバーノンは友達として気楽に話す相手として、私を外に引っ張り出したり笑わせてくれたり、彼らも同じ。一緒に時間を過ごして私を支えてくれた。
マグカップに入ったコーヒーの湯気は消えていた。
「スングァニが凹んだ私にafterschoolのモノマネして笑わせてくれたから平気だった。」
「あのさ、出てくるのがそれなの？」
ちょっと不貞腐れたスングァンに笑って頭を撫でた。
「まあでも、それで良いと思う。同じ女の子だから分かることも多いと思うし、これからもハルはヌナの隣にいて手を握ってあげて。」
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作者名：RIN
| 作成日時：2022年6月12日 8時
