動き出せ歯車 ページ13
side in
この大型連休に、サークルのみんなでお出かけしたけど、彼女とはどこにも行かなかった。
それがどうってわけじゃない。別に行きたかったわけでもない。
ただ、俺たちの関係はしょせんそんなものだったと思い知らされたようで、憂鬱になる。
長い休みは俺の中に、明日から学校だというだるさと、もやもやを残していった。
今日は午後からの講義はなかったから、課題を持ち込むふりをしてサークルの教室でだらだらする。
ちょっと前に立ち上げたまま、操作しなかったノートパソコン。気がついたときには画面が真っ暗になっていた。
「あーあ……やる気出ねぇや」
気だるい声は、独りぼっちの教室に吸い込まれて消えていく。
設計図書いて、それをもとにモデルを作って。
しなければいけないことは山ほどあるのに、やる気は起きなくて。
机に顔だけを乗せてぐでーっとしていると、足音が聞こえた。かすかだったそれは、だんだん大きくなっていって、この教室の前で止まった。
「……やぶ?」
薮が来たのかな、なんて思ったけれど、ドアから顔をのぞかせたのは彼ではなかった。
ひょっこり出てきた顔の後ろで、ポニーテールが揺れている。Aだ。小さく聞こえていた鼻歌がぴたりと止まる。
「せ、先輩、いたんですか」
「なにさ、いちゃだめなの?」
「えと、そういうわけじゃないですけど……」
ああ、鼻歌聞かれたのが恥ずかしかったんだな。
「Aー、授業は?」
「午後いちのが休講になっちゃって。暇なんで来ました」
「ふぅん」
俺の向かいに座った彼女は、リュックから本を出して読み始めた。文庫本にかけられたカバーのせいで、何を読んでいるのかわからない。
俺も一応本が好きでここに入ったから、なんとなく気になってしまう。
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作者名:碧依 | 作成日時:2016年4月30日 23時