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目の前にいるのは、ユイと同じクラスの女子二人と男子二人。
今、僕たちは肝試しをするために、廃病院に来ていた。中２の夏休みだっけ。
集まった時間は午後7時。
女「暗いね…」
男「どうせ何もいないんだし、早く行って帰ろうぜ。」
男子の一人はそう言ってるけど、見えないだけで、その辺りもいっぱいいるわけだからはっきり言って僕からしたら茶番だ。
ユ「じ、じゃあ、開けるよ？」
ユイが廃病院の入り口に入る。
懐中電灯で近くを照らすと、割れたガラスや埃だらけの待合室が見えた。
女「や、やっぱり帰ろうよ。」
男「ここまで来たのに帰れるかよ！」
男子二人が懐中電灯を持って先行する。
にしても、さっきから変な声聞こえるな。ま、他の人達に聞こえてないから空耳かな。
軽い気持ちで男子二人について行くと、待合室の先には、階段や病棟へ続く道があった。
うっわ、やっぱり病棟行きたくないなー。
落ち窪んだ目のもの。足を無くして這いずり回るもの。何か声を発して泣いてるもの。
成仏できないものは自然と仲間を求めて寄ってくる。
流石に目を合わせずに歩くのは難しいよな…。
コツ コツ コツ
とそこに、後ろから誰かが近づいてくる足音がして、振り返った。
誰もいない？
おかしい。いつもなら何かいるのに。
また前を見ると、男子がいない。
貴「え？」
この状況はヤバイ。
ユーレイだらけの廃病院で、霊感のないヤロー二人が下手に歩き回ったら、憑かれる。
女「どこ行ったんだろ…」
ユ「もう外に出ちゃったとか…」
貴「あの二人、懐中電灯持ってるし、一回外出よう？」
正直なところ、二人が上に行ったとしか考えられない。
ユイ達は埃を踏んだ跡に気付いてなかったみたいだけど、その跡は階段へ続いていた。
ただ、病棟を目の前にして、そのまま行ったら、憑かれるか魂を持ってかれる。
僕達は一度、出口から外に出ようと、入り口のドアを開こうとしたのだが、開かない。
女「開かない…！？」
ユ「出れないの？」
コツ コツ コツ
そこに、さっきの足音が近づいて来て、僕の後ろで止まって、ビビって声をあげようとした僕の肩を何かで殴りつける。持っていた懐中電灯が床に落ちた。
足音が聞こえない三人が、ドアが開かない状況と突然倒れた僕にパニックになった。
ユ「…ドア開かないどうしようどうしようどうしよう」
錯乱したユイは崩れるように気を失った。
二人が、僕を殴ったものを見て驚いた顔をした。
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作者名：蒼狐 | 作成日時：2016年1月4日 21時
