5話やで ページ6
side侑
昼休みに角名から聞いた話を考えながら改めて隣を見る。よく見れば、今日手当てした頬以外にも傷跡っぽいモノも薄いけどあるし、目の下の隈も酷い。
侑「(あの噂もあながち間違いやないっちゅうことか。)」
普通に綺麗な顔しとると思うんやけどなぁ。
遠慮なしにガン見しとったらさすがに視線に気付いたのかこっちを見てきた。う〜ん、これでも表情は変わらんか。
『あの、何?』
周りに聞こえないくらいの声量で聞いてきた彼女は顔には出てないだけでたぶん戸惑っとる。
侑「別に?ただ雨宮さんのこと気になるなーってだけやで?」
『は?』
お、ぽかんとした顔や。やっぱりいろんな顔できるやん。
侑「俺、雨宮さんのこと気になるから観察しとってん。」
『か、観察?』
侑「おん。今日一日観察させてもらったで。」
『はぁ。』
侑「で、一個聞きたいんやけど何で笑わんの?」
『え?』
侑「あ、笑わんってゆうより表情に出さん?」
『別に、関係ないよ。』
そう言うと彼女はまた前を向いてしまった。
侑「・・・。」
あんな苦しそうな顔すんのやたら言えばええのに。そんなことを思いながら、俺は残りの授業を観察しながら過ごした。
やっとつまらん授業が終わって部活に行こうとしたらたまたま雨宮さんが目に入った。たまたまやで?たまたま。ただその顔が、何かに怯えてるような、怖がっているような顔だったから。
その日の部活はあいつの顔が頭から離れんかった。
次の日
朝練が終わって教室に行くと雨宮はもう自分の席におった。ただ、昨日と違うとこが一つ。
侑「(傷が増えとる。)」
明らかに昨日より傷が増えとる。かすり傷とかそんなんやなくて、確実に殴られたような傷。
侑「はよ。」
『ビクッ))お、はよ。』
こいつ今一瞬怯えたな。ほんまになんやねん。
侑「なぁ、連絡先交換せぇへん?」
『え?』
驚いとる。ま、そらそうやろな。
『・・・私なんかより他の子の方がいいんじゃない。』
俯いたままぼそぼそとそう言ったこいつは、たぶん周りの女子の視線に気付いとる。
侑「関係ないやん。俺が交換したいって思ったんやから。ほれ、さっさと携帯出しい。」
拒否権なんてないように言えば、おずおずと携帯を出した。それを受け取りさっさと自分の連絡先を登録する。
侑「ん、なら返すわ。なんかあったら何でも言ってええんやで、Aちゃん。」
わざと名前で呼ぶと驚いた顔をした後に、すぐに隠してしまった。
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作者名:雨星 | 作成日時:2020年5月19日 0時