28話やで ページ29
sideA
「おっせーんだよ。すぐ来いっつったろ!何してんだよ!」
指定された場所に着いた途端、頭ごなしに怒鳴られた。今までの経験から体がびくついてしまう。
「てか、お前何勝手に俺の連絡先消してんの?誰が消していいっつった?つーかお前最近あの宮侑とよく一緒にいるらしいじゃん。なに、優しくされて好きになっちゃった?勘違いすんなよ?お前みたいなヤツ、あんな学校の人気者が本気になるわけねーじゃん。どうせ暇つぶし程度に考えてんだろ?あいつも性格悪いよな〜。やっぱりさ、お前には俺しかいない訳よ。だから大人しく今まで通り俺の言うこと聞いて、殴られてればいいんだよ。」
『・・・くせに。』
「あ?」
『宮君のことなんにも知らないくせに勝手なこと言わないで。』
「は?」
腹が立った。すごくむかついた。目の前の男に逆らう恐怖よりも、宮君のことを馬鹿にされた怒りの方が先に来た。目の前の男は何も知らないのだ。宮君がどれだけ私のことを気にかけてくれたのか。まだ、話すようになってそれほど時間も経ってないのに、私のために色んな事をしてくれたのか。誰かと話す楽しさを教えてくれた。誰かと一緒に買い物をする楽しさを教えてくれた。誰かに喜んでもらえることがこんなに嬉しいことだって教えてくれた。私にも誰かを喜ばせることができるって教えてくれた。助けてって言っていいよって言ってくれた。守ってくれるって約束してくれた。
『あなたみたいな人が、宮君のこと悪く言わないで!宮君は、あなたなんかよりも何倍も何十倍も素敵な人なんだから!』
「おい、黙って聞いてれば調子のんなよ?お前がどれだけ宮侑のことが好きかは知らねーけど、所詮お前は俺から逃げられねーんだよ。前は楽だったのによぉ、全てを諦めたような顔して口答えなんかしなかった。ま、これからまたそういう風に調教していけばいいだけだけどな。」
ゆっくりと目の前の男がこちらへ近づいてくる。今になって恐怖が勝ったのか、私の足は動いてくれない。なんで。どうして。動いてよ。私はもう、こんな男に負けたくないのに。
「またお前を殴れば前みたいに戻るよな。」
疑問符のないその言葉は、これから何をされるかを容易に想像させた。逃げなきゃ。どこに?足が動かない。無理だ。動いてよ。誰が助けてくれる?怖い。誰も助けて・・・。
”俺が守ったる”
・・・助けて。助けて。助けて。
目の前の男が腕を振りかぶった。
『助けて!侑君!』
ぐいっ
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作者名:雨星 | 作成日時:2020年5月19日 0時