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22話やで ページ23

side侑

お昼が終わればまた授業に戻る。だが、俺の機嫌は朝とは比べものにならないくらいよかったと思う。授業中1回も寝んかったし。めっちゃ先生驚いとったけどな。放課後の部活もめちゃめちゃ調子よかった。他の奴らにバレないようにAちゃんの方を見れば、目が合って小さく手を振ってくれた。

侑「Aちゃん。」

『宮君、お疲れ様。』

Aちゃんは待ってる間本を読んでたらしく、俺が声をかけると顔を上げた。

侑「本好きなん?」

『うん。いろんな物語を見るのは、楽しい。』

侑「そか。じゃあ本屋も寄ろか。」

『いいの?疲れてない?』

侑「大丈夫やで。ほれ、行こ。」

やっぱ優しいよな〜。しかも、本屋行こって言ったらめっちゃ嬉しそうな顔したな〜。二人で学校を出てから歩いてる間、会話は途切れない。それはしっかり話すようになったあの帰りからずっとで、Aちゃんが話を振ってくることは少ないけど、その代わり俺の話に必ず相づちを打ってくれるし、質問すれば答えてくれる。いわゆる聞き上手なんやと思う。やってめっちゃ話しやすい。

『宮君、お弁当箱どれがいい?』

侑「ん?何でもええよ。」

『むう、一番困る答えを。』

俺の答えに困った顔をしながらも真剣に弁当箱を選らんどる。時々、『たくさん食べるから大きい方がいいよね』とか『二段の方がいいかな』とか聞こえてきてなんか知らんけど幸せな気持ちになる。

『宮君、これでもいい?』

見せてきたのは、シンプルだけどかっこええデザインの二段弁当やった。

『これだったら、量もたくさん入るしデザインも悪くないと思うんだけど。』

侑「ええやん!じゃあ買うてくるわ。」

『え、いいよ。私出すよ?』

侑「俺のやもん、俺が出すわ。それにいくら俺でも女に払わせたりはせんよ?」

『う〜、じゃあ、お願いします。』

侑「は〜い。」

めっちゃ不本意って顔やった。やっぱ二人やと素直に顔に出してくれるよな。

侑「お待たせ〜。ん?どうしたん?」

『ん?なんでもない。本当に本屋にも寄っていいの?』

侑「おん。行こ。」

本屋では普段全く本を読まない俺におすすめの本を教えてくれて、俺は人生で初めてくらいに活字の本を買った。本屋も楽しんで、じゃあ帰ろうかというときに、Aちゃんが前を見たまま驚いた顔して固まった。でもその顔はすぐに恐怖に染まった。俺も急いでその視線の先を追うと、そこには一人の男がおった。

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作者名:雨星 | 作成日時:2020年5月19日 0時

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