16話やで ページ17
side侑
侑「ん、じゃあ練習終わったら迎えに来るで、ここで見とってな。」
『うん。』
侑「あ、これ着とき。まだ冷えるからな。ちゃんと大人しく見とるんやで。」
『うん。』
この場所はいつも女子達が見ている場所からは死角になっていて見えづらい。めっちゃええ場所やろ。見つけたん角名やけどな。でも、人がいない分冷え込みやすいから、俺のジャージを羽織らせておく。
侑「ほんなら俺着替えに行くから、また後でな。」
『うん。頑張ってね。』
頑張ってね・・・。頑張ってね・・・。え、めっちゃ嬉しいやん。なんで?今まで他の女子に言われてもなんも感じんかったのに。
その日の俺の調子はめちゃめちゃ良かった。
治「ツム、めっちゃ顔キモいで。」
侑「あぁ!?なんやと!?!?!?」
〜部活終わり〜
侑「すまん、待たせたわ。」
『ううん、お疲れ様。』
侑「じゃ、教室行こうや。」
『うん。』
始まる前に俺が言った通りAちゃんは俺が来るまで待っていた。俺のジャージを着て。俺の!ジャージを!着て!彼ジャーや!
『宮君、上着ありがと。寒くなかった?』
侑「俺は動いとったから全く寒くなかったわ。そっちこそそれだけで大丈夫やった?」
『うん、温かかった。やっぱり宮君の服おっきいね。』
そう言って、ちょっと照れたように笑うAちゃんは控えめに言ってめちゃくちゃ可愛かった。
侑「(めっちゃ心許してくれとるやん〜。ポーカーフェイスどこ行ってん。ええけども〜。)」
それでも、周りが怖いのは変わらないのか生徒の姿が増えていくといつもの無表情に戻っていた。あとめっちゃスマホを気にしとる。昨日確かに電話番号もメアドも全部消させたけど怖いんやろうな。そんな雰囲気がわかってまったら、後はやることなんて決まっとる。
侑「Aちゃん、ちょいこっち。」
『え?』
俺はAちゃんの手を引いて、人のいない階段の陰に来た。
『宮君?』
侑「なあAちゃん、俺と一個約束しようや。」
『約束?』
侑「そ。俺昨日絶対守ったるって約束したやん?」
『うん。』
侑「やからAちゃんも何かあったとき、どんなにちっちゃいことでもええよ。なんか助けてほしいときは、絶対俺に助けてって言うて。そしたら俺は、Aちゃんのこと絶対助けに行ったる。どこにおっても。な、約束してくれん?」
『わ、わかった。』
侑「ありがとぉ。ほな教室行こか。」
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作者名:雨星 | 作成日時:2020年5月19日 0時