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side坂田
『おかけになった電話は、ただ今電波の届かない所にいるか、電源が入っていない為_______』
一体何回目だろうか。
感情のない声が聞こえる度、ずし、と胸にのしかかる何か。
それだけやない。
ピンポ---ン....
さか「………」
静かな廊下に響くインターホンの音。
お願いやからA、返事して。
会うのが嫌なら声だけでもええから。
さか「A...っ‼」
そこにいるのかなんて分からん。
でも望みをかけるしかなくて、何度も扉を叩く。
すると聞こえた鍵を開ける音。
やけどそれは目の前の扉からではなく、その隣。
出てきたのはエプロンを付けたママさんやった。
うるさかった、かな…
さか「あ、す、すみませ…「喧嘩でもしたの?」え…?」
「貴方で4人目よ。それも今日で」
まだお昼回った所なのに、と優しく微笑むママさん。
きっと来たんはまふ等やろう。
あいつらも同じように扉を叩いてAを呼んでたと教えてくれる。
「Aちゃん、ああ見えてお寝坊さんみたいだからもしかしたらまだ寝てるんじゃないかしら?」
さか「……そやと、いいんですけどね…」
「長かったら夕方まで寝てる事もあったんだから、もう少し待ってみたらどう?」
さか「…はい」
ありがとうございます、と言って背を向けエレベーターへと向かっていく。
寝てるだけならどれだけいいだろうか。
とてもそうだと思えない理由はやっぱりあのメッセージ。
もう会わないと、遠回しに言われてる事は馬鹿でも分かった。
でもその理由がなんでかは分からんまま。
さか「ほんまにこれで終わりなん?A_____」
じわりと滲む涙がやがて大粒の雨となって、地面へと落ちていった。
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なっちん(プロフ) - 更新待ってます! (2021年6月14日 5時) (レス) id: 07520834ca (このIDを非表示/違反報告)
あやなん(プロフ) - とっても面白いです!更新待ってます! (2020年6月8日 1時) (レス) id: 3dca0298e5 (このIDを非表示/違反報告)
かっぱの子(プロフ) - 綺花さん» ありがとうございます! (2019年2月12日 17時) (レス) id: eef30012fe (このIDを非表示/違反報告)
綺花 - 最初から一気読みしました!こんなに素晴らしい作品にもっと早く出会えていればな、と後悔するばかりです…。お体に気を付けて、更新頑張ってください!応援してます! (2018年12月18日 9時) (レス) id: cee066e977 (このIDを非表示/違反報告)
かっぱの子(プロフ) - riluさん» コメありがとうございます!めちゃくちゃ分かりますwつい本編でも出番が多く…w (2018年11月28日 20時) (レス) id: f7e5f708ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かっぱの子 | 作成日時:2018年5月12日 21時