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「そういえば·····今年の盆に帰るんだよね、俺」




講義をサボったから暇、と言うので
大学内の探索をしているとふと勇太が言った。




·····帰る、ねぇ。



もう何十年も前にみた、ぼやっとしか思い出せない馬鹿でかい建物を思い出す。




「·····勇太がいいなら何も言わないけどさぁ、大学卒業したら本家の女と結婚だっけ?
代々そうしてきたって言われてもキツイねぇ」




平安時代から続いてきたこの神宮寺家。
その総本家の後継者となる勇太。




親も親戚も皆、家を守る事に必死なのだ。





その為に勇太は大学卒業と共に見合い相手と結婚しなければならない。




私が男だったら話は違ったんだけど。
生憎、女で生まれたから。




「姉ちゃんが婿養子とらないから〜。

お見合いの前日に出ていくなんてさぁ!俺まだ覚えてるよ?」




「知らん男と生涯共にするとか無理だもん、私。
それに決めてたんだよね」





「·····家を出ていくって?」



·····



場に少しの沈黙。




家。家か。





「勇太が生まれてからずっとね。
本当は高校卒業したら出ようと思ったけど」



私が"女"で生まれた時から、皆が敵だった。



誰も私に興味を示さず、誰も私に笑いかけてもくれない。



そのうち勇太という"男"が生まれ、私という存在は消えかかり。



高校に上がると共に浮かんだ婿養子の話。




気づかないうちに進むお見合い話。




そんなの私には考えられなかった。
だから、全てを捨て、そこを出た。




だって。
あそこは私にとって家じゃなかった。

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作者名:鏡華 | 作成日時:2020年4月30日 19時

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