再会 ページ44
「彩花」
私ー青葉真帆ーは、彩花を呼びとめた。
彩花は、私を見るなり顔をしかめた。
「…真帆?何か用?」
「うん」
「俺、先行ってるよ」
海斗は空気を読んでか、その場から去った。向こうの男子4人も。
「彩花」
「何?今更謝れって言いに来たわけ?」
「違う」
彩花は、露骨に嫌そうな顔をしている。
「私は、彩花との関係を精算したいの」
「精算?どういうこと?」
「仲直りするか、絶交するか、どっちかしたい。中途半端は嫌だから」
「ふーん、変わってないね、やたら白黒つけたがるとこ」
「彩花こそ、鼻につく言い方相変わらずだね」
「てか、いじめられといてよく言えるね」
「まあね。中学入ってから変わったから。でさ、私、彩花と仲良くできたらなって思うんだけど」
「その心は?」
「私、文芸部だから、文化部同士仲良くしたいのと、あとは次出くわした時に気まずいの嫌だからかな」
「なるほどね…」
彩花は腕を組み、色々考えている。すらっとした体型にショートカットが似合うな、と思った。
「まあ、その2択なら、今後鉢合わせした時のことを考えると仲直りの方がいいと思う」
「だよね、来年もまたこうやって会うかもしれないし」
「…じゃあ真帆、1つお願いしていい?」
「何を?」
彩花はうつむいて言った。
「小学生の時のことは、なかったことにしてください」
私は驚いた。いじめっ子だった彩花が、小学生の頃だったら絶対にそんなことは言わなかっただろう彩花が、そんなことを言うなんて。
「わかった。忘れる。また0から始めよう」
「…いいの?」
「別にいい。恨み続けても誰も得しないし、私自身彩花のこと恨むの疲れたから。それに、こういう結末を望んで話しかけたんだしね」
「…真帆、ありがとう、…いじめちゃって…ごめん」
彩花は、しどろもどろになりながらも私を真っ直ぐ見て言った。
「何ノコトデショーカ、モウ忘レマシタ」
私はおどけてみせる。
「アハハ、真帆って物忘れが早いのね」
「さて過去のことを水に流すように言ったのは誰だっけ」
「ひゅーひゅー…」
2人でバカみたいに冗談を言い合って、過去のことも笑い飛ばした。
小学生の頃は、まさかこんなことになるなんて誰も予想していなかったと思う。
彩花を嫌っていた私も、私を嫌っていた彩花も、もいここにはいない。
「終わりよければ全てよし、ハッピーエンドで万々歳っしょ」
「いやいや、何締めくくってんの、今から始まるのに」
私と彩花、2人分の笑い声が、晴れた空に響いていた。
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作者名:BLUE LEMON 綺 | 作成日時:2020年9月4日 20時