僕らの世界 (ページ40)

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今朝の天気は？ページ40

Z020年11月第3土曜日、朝7時。
私ー青葉真帆ーは、自転車で星が丘学園へ向かっていた。そう、今日は文化祭。星が丘は自宅から近いので、電車を使わなくても行くことができる。それで今日は自転車なのだ。
自転車のスピードを上げると、冷たい朝の空気をよりいっそう感じる。

今朝は街中が霧に包まれている。

視界が悪いし、睫毛に水滴がついてさらに前が見にくい。あーあ、ついてない。せっかくの文化祭なのに。そう思いながら自転車のギアを1段階上げた。

「おはよー」
「あ、真帆、おはよー」
学園の門の前で、ショージが迎えてくれた。今日、門の前には「星が丘学園文化祭」と書かれた大きなアーチが設置されている。
「これ、すごいだろ。グラフィック部と美術部の木工の人が作ったらしいよ」
「へー、木工専門みたいなのがいるの？」
「そうそう、それで最近美術部からグラフィック部が独立を果たしたんだ」
「あー、なるほど。…あの、自転車ってどこに置いたらいいの？」
「ああ、自転車はすぐそこに自転車置き場あるから」
「オッケー、ありがと」
私は自転車を押して校舎の裏の駐輪場に停めた。

門へ戻ってくると、瀬戸くんと海斗がいた。
「おはようございまーす！」
「朝から元気だね」
瀬戸くんはとっても元気なのに、海斗は寝ぼけ眼をこすっている。「10分前に起きた」と言われても違和感ない。
「眠ぃー、ショージ、出番まで寝てていい？」
「ダメに決まってんだろ。海斗、何時に起きたんだよ？」
「うーん、10分ぐらい前かな」
「えっ…」
まさかの予想的中。てか、10分でどうやって来たのか。家が近いにしても、起きて10分でここに来るのは人間わざじゃない。
「あ、凉馬！おーい！」
だいぶ遠い所に人影が見えたけど、それが凉馬かは霧のせいでよく分からない。ショージ、視力いいのかな。
「おはよー」
「おはよー、すげえ霧だな」
「本当、よく見えないや」
「あー、ついてないな、今日に限って」
「いや先輩、むしろラッキーですよ」
瀬戸くんが明るい声で言った。
「え？どうして？」
「霧って、止んだ後晴れるらしいですよ」
「へー、よく知ってるね」
「天文部の子に教わりました」
この後晴れる。そう思うと、気分もちょっと晴れてくる。
「あ、7時半だ。そろそろ始めよう」
ショージが時計を見て言った。

「あ、ちょっと晴れてきた」

瀬戸くんがつぶやいた。私も思わず笑顔になった。