前日 真帆編 ページ39
「凉馬、明日頑張ろうね」
「ああ」
午後5時30分。私ー青葉真帆ーは、柿沼駅で、凉馬とグータッチをしてから改札へ向かった。
気分が今からウキウキして、自然と足どりが軽くなる。けど、この気持ちをずっと味わいたくていつもよりゆっくり歩いた。おかげで電車に乗り遅れた。
「南中原ー、南中原ー」
このへんではわりと大きい南中原では、帰宅ラッシュで多くの人が行き交っている。
学ラン、ブレザー、スーツ、黒いカバン、セーラー服、通学カバン…
全体的に黒っぽい車内の様子を見て、ふと思いついた言葉。
縛られた人々。
なんかポエミーだけど、あながち間違ってないんじゃないかな。出る杭は打たれるからみんなと同じ格好をする人。制服を買わされて、学校に縛られた人。私も例外ではない。
もし機会があったら、制服廃止運動をやってみよう。
心の中のメモに書き留めておいた。
電車は、こういうアイデアをひらめくのにうってつけの場所だと思う。
1人であれこれ考えているうちに若葉台駅に到着。明日は早いから、さっさと帰って早めに寝ようと思ってまっすぐ家に帰った。
『明日はついに文化祭。緊張してる?真帆は文芸部のことと海洋学部のこと両方頑張っててすごいよな。渚学園と星が丘の仲介とかもやってくれてマジ助かったー。頼りにしてるぞ!
明日は朝7時30分集合。遅れんなよ。明日と明後日、2日あるから明日だけで完全燃焼しないように。お疲れならこれ読んでさっさと寝ろよな。明日、頑張ろう。おやすみ。
P.S.明日の朝、俺スピーチするからちゃんと聞けよ!!』
夜10時過ぎ、一方的な長文メールを送ってきたのは、ショージ。こういう所で気が利くショージは、本当にすごいと思うし、優しいと思う。
それで私もショージにメールを送ることにした。でも、ネタがない。だから簡潔にまとめた。でも、これでいい。これが「私らしさ」だと(勝手に)思ったから。
『明日頑張ろう。ショージも無理しないように。おやすみ』
おやすみ、と打って送信して、私はそのまま部屋の電気を消して布団に入った。
あーしたてんきになーれ。
小さい頃に、次の日が楽しみな時に心の中でつぶやいていたフレーズを1度唱えてから眠った。
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作者名:BLUE LEMON 綺 | 作成日時:2020年9月4日 20時