僕らの世界

真相・2 ページ32

「美咲、バレー部の2年生で、最近辞めた人っているか？」
僕ー瀬戸航平ーは、家に帰ってからも事件の真相を探るべく、妹に聞き込み調査をしていた。
「いる」
「何人？」
「3人」
「名前は？」
「山田樹里先輩と、下村綾佳先輩と、藤木新菜先輩」
「3人は仲良いのか？」
「うん、いっつも3人で練習イヤとか言ってて、3人で一緒に辞めた」
「わかった、ありがとう」
「その3人どうかしたの？」
美咲が突然訊いてきた。推理していることを推理しようとしているようだ。こういう時美咲は、何があったのか分かるまで絶対に引き下がらない。なら答えたほうがいいだろう。
「実は、その3人は海洋学部に嫌がらせをしてきた人かもしれないんだ」
「え、何それ、嫌がらせって具体的に何」
「図鑑をスプレーで汚して、魚に有害なスプレーを大量に置いてった。海洋学部の立ち退きを求めるとかいうメッセージ付きで」
「何それ！海洋学部じゃないけど許せないんだけど！」
美咲は、「激怒！噴火！」って感じだ。誰に似たのか、気が短い。でも、海洋学部のことを思って怒ってくれている優しさ(？)もある。
「明日、海洋学部の部室行っていい？3人とも問い詰めてやる！」
「落ち着け美咲。美咲はバレー部の練習があるだろ？だからそっちを優先するんだ」
「でも…」
「大丈夫だ、こっちには2年生の先輩2人がいる。それにレギュラー入りしたならちゃんと練習に出ないと、すぐ降格になるんじゃないか？」
「…わかった」
…よかったー、美咲の逆鱗に触れなくて。こういうことを言うと、だいたいいつも「航平に何が分かるの！」と、激怒するのだが、今日はセーフ。助かった…

ヤマダジュリ。シモムラアヤカ。フジキニイナ。
忘れないようにメモを取って、今日の調査は終了。明日先輩に言ってみよう。

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