今じゃないけど、いつか言うから ページ4
私ー青葉真帆ーは、渚学園中2年、文芸同好会副会長。今は部室(として使っている図書室)で本を読みあさっているところ。
「青葉、この本面白いから読んでみなよ」
「お、サンキュ」
今話しかけてきたのは、私の相棒、文芸同好会会長の伊達凉馬。私はいつも「凉馬」と呼び、「青葉」と呼ばれている。
文芸同好会に会長・副会長はいるけど、他に会員はいない。以前は10人前後の部員がいる「文芸部」だったが、ここ数年で急に人がいなくなり、去年の春ーすなわち私たちが入部した頃ーに「文芸同好会」に格下げされてしまった。そして現在、文芸同好会は2人きり。普通なら「恋の予感が…」なんて展開だけど、それじゃ話ができすぎる。まあ仲良くやってます、といった感じ。
私たちは中学から一緒になった。私は小学生時代、いじめに遭っていた。親が社長だったから「お嬢」と呼ばれてハブられる、物を取られるといったいじめ。それで、自己主張するのが怖かった。受験をして小学生の頃の同級生と離れたとはいえ、やっぱり怖い。
けどそんな私に凉馬は話かけてくれた。
小学生どこ?兄弟はいる?趣味は何?
色々な質問をしてきた。最初は自分のことをあまり話したくなかったけど、だんだん慣れていつの間にか平気になってた。それで「読書」という共通の趣味を見つけて、文芸同好会に入ることになった、という訳。
私は凉馬を英雄のような存在だと思っている。私を救った英雄。本人には絶対言わないけど。感謝の気持ちはいつか伝えるつもりだけど、今は言わない。口が裂けても言わない。
…けど心の中ではいつも思ってる。
ありがとう。
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:BLUE LEMON 綺 | 作成日時:2020年9月4日 20時