僕らの世界 (ページ26)

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家族会議・1 ページ26

Z020年11月、第2土曜日。俺ー東海林隼ーは、家族と空港に来ていた。ドイツ留学から帰ってくる兄を迎えに来たのだ。
国際線の出口の近くで待っていると、大きな荷物を持った人ゾロゾロが出てきた。多分兄もこの中にいる。
キョロキョロして探していると、スーツケースを持ち、トロンボーンの細長いハードケースを持った人物が出てきた。翔だ。俺は確信した。両親に「あっち！」と言い、翔の所へ小走りで向かった。
「翔！」
「あ、隼！」
「翔、おかえり」
「ただいま」
「隼、でかくなったな」
そう言う翔は、前よりカッコよくなっている。兄弟のひいき目なしに。
「翔、ドイツはどうだった？」
「色々勉強になったよ」
「楽譜はちゃんと届いた？」
「ああ、もう完璧にしといたぞ」
翔のトロンボーンのケースには、色々なステッカーが貼られていた。
「すごいだろ、これ。友達がくれた」
翔は、ニカッと笑ってみせた。
ー前は、こんな表情はしてなかったな。

「はあ？！」
夕飯は、家にあったものをかき集めて豪華な晩餐となった。
…のに。