僕らの世界 (ページ23)

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孤独の城・2 ページ23

「俺の城へようこそ」
ここは海斗の城？？海斗、楽器とかやってたっけ？
「ああ。紹介するよ、俺の楽器。テナーサックス、アルトサックス、エレキベース、ソプラノサックス、ホルン、トロンボーン…」
「へー、海斗、できるの？」
「もちろん。ここにあるやつ全部練習してる」
「もしかして学校行ってない間…」
「正解。学校よりこっちの方が面白い」
海斗は当たり前じゃないか、という風に言った。
「あ、みんな聞きに来たカンジ？」
「えっと…うん、聞かせてくれるなら」
「んじゃ…1番得意なやつ…『チェロ無伴奏組曲』テナーサックスバージョン」

海斗がサックスを吹き始める。海斗のサックスは、なんか寂しそうだった。細かい音1つ1つが潤っているように聞こえる。けど、それが涙で潤っているような…悲しい感じがする。

曲が終わると、海斗は俺たちの方を向き直して言った。
「…ありがとう」
海斗は笑っているように見えるが、どこか寂しそうに見えるのは俺だけか…
「…海斗、何かあっただろ？」
俺が思ったことを口に出したのは、凉馬。
「…え？」
「海斗、なんかヘンじゃないか？口数やたら少ないし、表情とか不自然だし」
「凉馬…うん、ちょっと色々あったから。隠してたつもりだけど…バレてた？」
「うん、最初から何か違うかなって思ってたけど…今ので確信した」
「マジか…バレてたのか」
「僕らでよければ、話聞くよ」
俺と真帆も横で頷く。
「いいのか？」
「もちろんだよ」
「海斗、もっと私たちのこと頼っていいんだよ」
「…おう」
海斗は少しうつむいたと思ったら、「椅子ないからあっちの部屋行こう」と、俺たちをリビングに案内してくれた。

「んじゃ、ちょっと話すと長くなると思うけど…」