理由 ページ15
粘ること5日。Z020年10月第2金曜日、僕ー伊達凉馬ーが電話をかけると海斗はやっと出てくれた。
「もしもし、海斗?」
『凉馬?』
「そう」
海斗の声は、この前と少し違う気がした。何だか元気がない??
『どうしたの』
「いや、それを聞きたいのはこっち。海斗、最近どうしたんだ?」
『…』
「あ、聞かないほうがよかった?」
『いや別に』
「じゃ、どうしたんだよ」
『…学校に行きたくないだけだよ』
海斗は吐き捨てるように言った。何ともぶっきらぼうな言い方だった。
「…え?」
『学校行きたくないから行かない。ただそれだけ』
「じゃあ海斗は今大丈夫なのか?」
『うん、特に問題ない、俺は大丈夫だ』
「…ごめん、答えたくなかったら答えなくていいんだけどさ、何で学校行きたくないと思ったの?」
『…クラスが嫌だから』
答えなくてもいい、と言ったけれど、海斗はちゃんと答えた。
「クラス??詳しく聞かせて」
『クラスの奴ら、運動部ばっかりでさ、うるさいし話合わないから』
「運動部ばっかりだから?」
『そう』
「じゃ、これから僕らが文化部と帰宅部を運動部と対等の立場まで上げるからさ、そしたら来いよ」
『…おう』
「まあこういう台詞はショージのが似合うだろうけど」
『…いや、そうでもないよ、凉馬が言うと何か』
プツッ、ツーッ、ツーッ、ツー…
突然電話が切れた。画面の通話終了ボタンを顔で押してしまっていたらしい。まあ海斗が無事であることは確認できたからよかった。ショージに報告しよう。
…ところで海斗、「凉馬が言うと何か」の後、何て言うつもりだったんだろう…
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作者名:BLUE LEMON 綺 | 作成日時:2020年9月4日 20時