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出会いは10年前 ページ1

Z020年8月、僕ー伊達凉馬ーが出会ったのは、10年前の親友だった。そいつの名前は、進藤海斗。「神童」と呼ばれていた天才。

海斗と出会ったのは、幼稚園のとき。海斗は運動が得意で活発で、さらに賢かった。好きだった遊びは高鬼。海斗は足が速く背も高くて、僕はいつも負けていた。でも、嫌じゃなかった。海斗と遊ぶのが楽しかったから。
けど海斗は、小学校に上がるタイミングで引っ越した。それ以来連絡は取っていない。

その日の午後は、予定もなく暇だった。だから、近所をフラフラ散歩していた。
家から徒歩5分。稲荷前第2公園ー海斗と遊んだ、思い出の公園ーに辿りついた。この時間帯は、暑さのあまり滅多に人が来ない。遊具がいくつかあり、奥には大きな木がある。そして木の下のベンチには、珍しく人がいた。僕と同じくらいの男子。白のシャツに黒いハーフパンツ。イヤホンで音楽を聞いているようだ。
僕がじっと観察していると、相手もこっちに気づいたらしい。こっちへ来る。そして僕の前で停止。近くで見ると、けっこう背が高い。
「伊達凉馬?」
突然自分の名前を呼ばれて驚いた。なぜ知っている?
「…はい」
「俺のこと、覚えてる?」
…誰?
「え、名前は…」
「進藤海斗」
「…海斗?」
「そう」
進藤海斗。僕の幼稚園の頃の親友。けど、幼稚園の頃と雰囲気が全然違う。面影が全くない。
「久しぶり…てか海斗、何でここに?」
「何となく。凉馬いるかなーと思って」
「そもそもどこに住んでんの?」
「中原市。小5から」
中原市は、僕が住んでいる大場市のすぐ隣。遠くにいると思っていたけど、意外と近くにいたらしい。
「で、暇だから僕んとこ来たわけ?」
「そ。で、折角会えたから連絡先交換したい」
「あ、いいね」
ポケットからスマホを出した。「進藤海斗」という新しい連絡先を見て、なんかいいな、と思った。まさか海斗と連絡先を交換できるとは思わなかったから。
「つーか凉馬、学校どこ?」
唐突な質問。幼稚園の時もそうだった。
「渚学園中。海斗は?」
「星が丘。親に言われて受けた」
「海斗頭いいしな」
「いや、今はそんなでもない」
「そうか…」
風が吹き、木がザワザワ揺れた。
「じゃ、俺そろそろ行くよ」
「え、もう行くの?」
「塾サボってるからもう戻らないと親にバレる」
「なるほど」
「じゃ、また」
「またな」
手を振って、海斗は去っていった。
僕も今日は満足。世界中が青空みたいな気分。まだ公園の時計は3時だけど、僕も家に帰ろう。

あいつは凄いやつだ→



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設定タグ:学園 , 友情 , 青春   
作品ジャンル:純文学, オリジナル作品
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作者名:BLUE LEMON 綺 | 作成日時:2020年9月4日 20時

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