正しい用法・2 ページ6
「初めまして」
僕ー浦部将希ーは、同じテーブルに集まった新海さんや瀬戸くんに挨拶をした。
今日僕は、進藤くんに呼ばれてファミレスに来ている。なんでも、進藤くんたちは、時々このファミレスで会議をしているらしい。
「さて、ゲストが揃ったところで、さっきまでのことを説明していこう」
伊達くんがなぜ僕らを呼んだのかということや学園の裏サイトのことを、こと細かに説明してくれた。僕は裏サイトを見せてもらって、強い憤りを感じた。同時に、今度の生徒会選挙で当選したら、まずこのサイトをどうにかしなきゃいけない、とも思った。
「で、この裏サイトの潰し方について話す前に、浦部くんと瀬戸くん、それから裏サイト発見者の新海さんの了承を得たい」
「了承?なんで?」
新海さんは、僕が思ったことをいち早く口に出す。
「これからやる作戦は、ちょっとリスクがある。成功すれば裏サイトを潰せるかもしれないけど、失敗したら多分ここにいる全員に影響が出る。生徒会選挙で不利になるかもしれない。
そこでもしこの作戦が失敗したら、この作戦を企てた僕が、全責任を取る。…ということで、了承していただけますか?」
僕は、首を縦にも横にも振ることができなかった。裏サイトを今潰すか、このまま見過ごして生徒会選挙で当選してから潰すか。
裏サイトを潰せなかった時の責任を伊達くんに負わせるわけにいかない。
でも、僕が当選してから裏サイトを潰すことは、僕が手柄を独占することになる。それもちょっと…
いや、そもそもこの作戦を成功させればそんなことにはならない。だったら、やるしかないじゃないか。
「僕はいいよ。でも、伊達くんが失敗した時の全責任を取るっていうのは賛同できない。僕にだってこの作戦に乗っかったという責任がある。だから僕は、伊達くんが全責任を背負わないことを条件に、了承します。
まあ、成功すれば誰も困らないし、頑張ろうよ」
僕は一気に言った。
「…そうですよね、浦部先輩、その通りです!僕も、伊達先輩が全責任を負わないなら作戦に協力します!」
隣の瀬戸くんが目を輝かせている。
「本当?ありがとう!でもなんか悪いなあ」
「全然大丈夫です」
「そうか、じゃあ協力してくれる?」
伊達くんは少し躊躇ったものの、僕らの条件を飲んでくれた。僕は大きく頷いた。
「新海さんは?」
「私は全然OK。私は見つけて真帆に『どうにかしてよ!』って頼んだだけだから、好きにして」
「じゃあ、全員の同意を得られたということで、作戦について説明していこう」
伊達くんは、乱雑にテーブルに置かれたプリントをトン、とまとめて言った。
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作者名:BLUE LEMON 綺 | 作成日時:2021年2月2日 21時