切磋琢磨・1 ページ35
「ついに選挙だな」
「自信の程は?」
「まあ、ある。お互い頑張ろうな」
「うん」
「健闘を祈る」
青葉と目を合わせて、お互いに頷いた。
Z021年3月第一金曜日。僕ー伊達凉馬ーは、生徒会選挙に臨む。制服をいつも以上にしっかり着て、寝癖も完璧に直した(詳しく言うと、青葉に直してもらった)。見た目はバッチリ。演説の内容もなんとか暗記した。僕の出番を待つ間、ひたすら話すことを頭の中で反芻した。
そして、出番。
「みなさんこんにちは、この度生徒会に立候補させていただいた、伊達凉馬です」
緊張のせいか、声が上ずったり息が上がったりした。平常心、平常心。自分を落ち着かせて、話を続ける。
「僕は文芸同好会会長として、文化部活性化に取り組んできました」
時々噛みそうになりながらも、何とかごまかして僕の功績や目指したい学校の像について語る。
「僕が当選した暁には、この学校をより元気に、明るくしていきます。そして、誰もが等しく笑顔になれる学校を目指します。ご清聴ありがとうございました」
少し早口に、一気に続けた。そうしないと、勢いが止まって、頭が真っ白になりそうだったから。
礼をしてステージを降り、青葉の方をチラッと見る。
パチ、パチ、パチ。
瞬きを3回。僕は事前に、「演説がよかったら3回瞬きして」と青葉に頼んでいた。つまり、よかったということか。自分ではなかなか心配だったけど、大丈夫だったかな。ちょっと安心。
青葉の出番は、次の次。僕は、お返しにウインク(実は得意だ)を3回送った。青葉は、さらにお返しのお返しで笑顔を向けてきた。
この2年間で、青葉とはいい信頼関係を築いた。言葉を交わすことなく意思疎通ができるようになった。お互いに切磋琢磨して、ここまで来ることができた。
ありがとう、青葉。一緒に頑張ろう!
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作者名:BLUE LEMON 綺 | 作成日時:2021年2月2日 21時