旅に出ようぜ 真帆編 ページ19
金曜日の放課後、私ー青葉真帆ーは、中原市立の図書館で地図を見ていた。
何でって?
それは、ショージから『ちょっと旅しない?』というメールが来たから。旅先がどこか予想するためにわざわざ図書館で地図を見て、あっちか、こっちか、と考えていた。
メールによると、出発地は3路線が乗り入れる南中原駅。私がいつも使っている東西線の他に、港北線、特急が来る。特定するのは結構難しそう。とりあえず、観光ガイドを片手に3路線の沿線の観光地をしらみ潰しに探した。
1時間後。ショージの好みや学生が行ける場所であることを考えて、なんとか候補地を4ヶ所まで絞った。マラソンの後の授業みたいな疲れが、どっと押し寄せてきた。
・特急沿線 若者の街 藤谷
・港北線沿線 商店街がある 下岡山
・東西線沿線 文化の町 川田
・特急沿線 港町 鶴島
多分、この中のどれか。あとは家で考えようと思って、本を片付けてから外に出た。
「ねえショージ、行き先ってどこなの?」
家に帰ってから、やっぱり行き先が気になってショージに電話をかけた。ダメ元だけど、もしかしたら、と思って。
『当日まで秘密』
「えー、教えてよ」
『ダメ、お楽しみだから』
「いいじゃん、ねえ、どこなの?」
『知らない方がいいことってのがあるんだよ』
「何それ」
結局、ショージは最後まで教えてくれなかった。
私は電話を切ると、クローゼットを開けた。動きやすい服を探していたら、ちょっと楽しみになってきた。遠足の前みたいにワクワクする。思わず口元がほころんだ。
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作者名:BLUE LEMON 綺 | 作成日時:2021年2月2日 21時