バレてる ページ10
世「──んせ、──先生、北見先生！」
「んん……」
大きな声が耳元でして意識が浮上する。
「うるさい…」
世「うるさいじゃありませんよ。北見先生、起きてください」
「ん……？んー…。うん…」
世「返事をしながら寝ようとしないでください」
ゆさゆさと身体を揺すられて、仕方なく起き上がる。
まだ重い瞼を懸命に動かし、瞬きする。
ぼやけていた視界がはっきりしてきた。
「あれ？世良くんだ〜…」
世「おはようございます。術後経過の報告があって来ました」
そう言って自らソファの傍らにしゃがみこむ。
おぉ、行動が犬。忠犬みたいだな。
世「あと、さっきから先生のスマホすっごい振動してましたよ」
「えっ？まじ？」
征司郎から連絡でも来たのだろうか。
机の上に置きっぱなしだったものを手に取る。
「うわ……何なのよ…」
ぜんっぜん違った。
あの人からの催促電話だ。
10件近く入ってる。
仕方なく、メールボックスを開いて先程届いていたメールを見ることにした。
めちゃくちゃ嫌だけど。
「バレてる…」
『親愛なるAちゃんへ』から始まり
『櫻庭 裕二』で終わる長文のメールには、
私が日本に帰国したことは分かっているから、一度自分の元に顔を出しなさい。
と言った内容が書いてあった。
誰か私の帰国をバラしたな。
この人だけには伝わらないようにしてたのに。
世「北見先生？大丈夫ですか？」
「あぁ…うん、ごめん。報告して」
スマホの画面を暗くして、私はもう一度ソファに寝転がった。
世「──と、いうことで術後の経過報告は以上です」
「ん。了解」
世「それから、もう一つお耳に入れたい話があるんですけど」
「なぁに？」
世良くんは少し私に顔を近づけてから口元に手を当てる仕草をした。
内緒話ってこと？
世「山本さんへの投薬ミスの事なんですけど」
「あぁ…まだ報告行ってないや」
緊急オペが入ったから行きそびれてた。
世「高階先生が教授にもうお伝えしたみたいで、さっき僕達招集されたんです」
「えっ？そうなの？」
世「はい。それで、藤原師長から医院長にも話をしてもらったんですけど…。えっと…」
珍しく世良くんが口ごもる。
何かあったのか。
世「指示した担当医…つまり黒崎准教授ではなく、投薬した看護師の宮元さんのミスだってことになったんです」
「……は？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 531人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
霜月(プロフ) - ゆんすずさん» コメントありがとうございます！応援して頂けて非常に嬉しく思います。これからも頑張りますので、宜しくお願いします！ (2018年12月17日 23時) (
レス) id: 7faa8b6556 (このIDを非表示/違反報告)
ゆんすず(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いております！！更新大変ですが頑張ってください！！応援しています！ (2018年12月15日 1時) (レス) id: 67b7d75cd8 (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - snake20xjapan04さん» コメントありがとうございます！嬉しいです！頑張って更新しますのでこれからも宜しくお願い致します。 (2018年10月10日 20時) (レス) id: 7faa8b6556 (このIDを非表示/違反報告)
snake20xjapan04(プロフ) - めっちゃ面白い！です。これからも楽しみにしてます。 (2018年9月26日 17時) (レス) id: b0aeedf16f (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - 白兎さん» ご報告ありがとうございます。私もその作品を拝見したのですがあまりに似ていて驚きました。でも、どう対処するかまだ検討中なので…。暫くは様子を見ようかと思っております。 (2018年8月10日 0時) (レス) id: 7faa8b6556 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：霜月 | 作成日時：2018年7月13日 23時
